研究課題
令和2年度は、予定通り気象研究所のスーパーコンピュータシステム上に気象庁非静力学モデル(JMA-NHM)及び局所アンサンブル変換カルマンフィルタを用いた数値実験システム(NHM-LETKF)の環境構築をするとともに、過去の顕著な大雪事例についてアンサンブルシミュレーションを実施し、事例解析等の研究を行った。2014年2月14~15日に南岸低気圧の通過に伴って関東甲信地方で発生した顕著な大雪について、環境構築を行ったNHM-LETKFのシステムにより水平解像度5kmのアンサンブルシミュレーションを行った。その結果、地上気象観測・高層気象観測・シチズンサイエンスデータによる降水種別観測等からシミュレーション結果を評価したところ、再現性の高いメンバーでは総観スケールの寒気流入が特徴的だった。また、関東甲信地方で大雪となってたメンバーでは、降雪前の下層気温がそもそも低い傾向があり、南岸低気圧の発達度合い・中心位置に伴う下層風向の違いによって特に内陸で地形の影響により降雪量の多くなる地域に違いが見られた。これらの研究成果や本課題での取り組みについて、一般向けの講演会や取材、著書の執筆・刊行などを通して、アウトリーチ活動を行った。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた各種観測データやアンサンブルシミュレーションの結果を用いた過去の大雪事例の解析について、滞りなく実施することができた。アンサンブルシミュレーションの結果の解釈や解析手法の検討は、引き続き研究協力者と議論を重ねながら研究を進めている。これらのことから、令和2年度の研究計画は当初の計画通り順調に進展している。
引き続き観測データ整備を行うとともに、各種観測データやアンサンブルシミュレーションの結果を用いて、首都圏降雪事例における大気環境場についての事例解析を行う。今年度は水平解像度5kmの数値シミュレーションに留まっていたが、大気下層の環境場をより精緻に表現するために、より現実的な地形を表現できる高解像度(水平解像度2kmなど)なシミュレーションを実施する予定である。
新型コロナウイルス感染症対策のために、計画していた出張は取りやめとなった。取りやめた出張の研究打ち合わせについては、オンライン開催することで研究を遂行した。翌年度分として請求する助成金は、研究遂行に必要な消耗品の購入、英文校閲や論文投稿料等に充てる。
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SOLA
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科学の最前線を切りひらく!
巻: 0 ページ: 117
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