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2023 年度 実績報告書

積雪層内における選択的な水の流れが斜面変動へ及ぼす影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K14562
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

大澤 光  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70839703)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード地すべり / モデリング / 現地観測 / 積雪 / 融雪 / 側方流 / 選択的な浸透
研究実績の概要

地すべりは、降雨や融雪の地下浸透によって地すべり面の上の地下水圧が上昇することで発生リスクが高まる。この地下水圧の変動を予測する手法を開発するため、新潟県上越市の伏野地すべり試験地において、気象や地下水圧の長期観測を行った。得られた雨量・融雪量と地下水圧の関係を元に、地下水圧の短期的な応答を予測可能にする水文モデルを開発した。地下水圧をモデル化するには、基本的に数学的な方程式を解くアプローチと、人工知能を利用したアプローチがある。数学的な手法は、自然条件の不確実性から精度が犠牲になる場合が多い。人工知能は高精度だが大量なデータセットが必要であり、計算過程が不透明となる欠点がある。このような問題点を解決するために、両者の良い点を取り入れた新しい手法を開発した。このモデルでは、一定の精度を確保しつつ、使用するパラメータの物理的意味も保持している。地すべり移動に強い影響を与える地下水圧の変動を予測可能にすることは、将来の地すべり発生リスクを推定できる可能性を示している。

研究機関全体を通して、伏野地すべり試験地にて最大積雪水量期に、積雪調査およびトレーサー試験をおこなった。その結果、積雪中に氷板ができると不透水層として機能するため、地すべり地外から地内へ向かって融雪水が流入し、地すべりの誘因となる可能性がわかった。一方、地すべり試験地に新たに流量堰を設置し、計測を開始した。流量とライシメータの観測結果を比較した所、融雪初期から末期へ向かってライシメータの捕捉率が上昇することがわかった。これは融雪初期において融雪水の地表面へ到達する場所が局所化することを示唆し、トレーサー試験の結果から得られた積雪中における氷板などの止水面を側方流下することによって生じると考えられた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 新潟県伏野地すべりにおける軽量ボーリングマシン掘削と水圧計埋設2024

    • 著者名/発表者名
      TOSA Shinichi、SHIBASAKI Tatsuya、MURAI Yusuke、HAGIWARA Nobuya、OKAMOTO Takashi、OSAWA Hikaru
    • 雑誌名

      Journal of the Japan Landslide Society

      巻: 61 ページ: 54~59

    • DOI

      10.3313/jls.61.54

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 大変位高速地すべりのための高分解観測システムの開発とその観測事例2024

    • 著者名/発表者名
      OSAWA Hikaru、TOSA Shinichi、MATSUURA Sumio、SHIBASAKI Tatsuya、DOI Issei、OKAMOTO Takashi、
    • 雑誌名

      Journal of the Japan Landslide Society

      巻: 61 ページ: 1~7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Semiempirical modeling of the transient response of pore pressure to rainfall and snowmelt in a dormant landslide2023

    • 著者名/発表者名
      Osawa Hikaru、Matsushi Yuki、Matsuura Sumio、Okamoto Takashi
    • 雑誌名

      Landslides

      巻: 21 ページ: 245~256

    • DOI

      10.1007/s10346-023-02158-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Destruction of Matsuno tunnel in Ban'etsu West Railway Line due to 1917 landslide during snowmelt period2023

    • 著者名/発表者名
      MATSUURA Sumio、OSAWA Hikaru、SHIBASAKI Tatsuya
    • 雑誌名

      Journal of the Japan Landslide Society

      巻: 60 ページ: 154~160

    • DOI

      10.3313/jls.60.154

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 線状凹地を有する地すべり地における地盤構造の推定2023

    • 著者名/発表者名
      大澤光、土井一生、荒井紀之、東良慶、渡壁卓磨、山川陽祐
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合大会(2023)
  • [学会発表] 積雪地域の地すべり地における埋設型間隙水圧計の設置事例2023

    • 著者名/発表者名
      土佐信一、柴崎達也、 村井勇介、萩原伸也、岡本隆、大澤 光
    • 学会等名
      日本地すべり学会研究発表会
  • [備考] 地すべり発生リスクの推定に向けた高精度な地下水圧予測モデルの開発

    • URL

      https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/saizensen/2024/20240308.html

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公開日: 2024-12-25  

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