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2020 年度 実施状況報告書

ナノスケール解析による緑泥石と緑泥石混合層鉱物の結晶構造変化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K14564
研究機関愛媛大学

研究代表者

井上 紗綾子  愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 助教 (70867522)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード緑泥石 / 脱水酸基化 / 透過電子顕微鏡
研究実績の概要

緑泥石の積層構造と化学組成は形成条件と関係を正確に理解するためには、緑泥石の積層構造をナノスケール解析により正確に評価する必要がある。本研究では異なるFe/(Fe+Mg)比を持つ緑泥石の積層構造を、高分解能電子顕微鏡法を用いて正確に評価し、緑泥石中のFe含有量と生成環境、積層構造の関係を明らかにする。2020年度はまずFe/(Fe+Mg)比の異なる緑泥石を加熱した時に積層構造に起きる変化を明らかにした。粉末X線回折や熱分析の結果は、Fe成分に富む緑泥石とMg成分に富む緑泥石はどちらも400~700℃で緑泥石層間の水酸化物シートが脱水酸基化・分解し、800℃以上で完全に脱水酸基化する事を示した。層間の水酸化物シートが脱水酸基化するときには、構造中の2価鉄が3価鉄に酸化する事がメスバウアー分光法分析により明らかになった。層間水酸化物シートが脱水酸基化したMgに富む緑泥石とFeに富む緑泥石の積層構造を高分解能電子顕微鏡法で解析したところ、Mgに富む緑泥石では脱水酸基化後の層間水酸化物シートは連続した平面上の二重原子シートへと変化している事が明らかになった。一方で、脱水酸基化後のFeに富む緑泥石では層間の二重原子シートは断続的に存在し、規則的な構造がほぼ残っていないことが明らかになった。これは緑泥石中のFeの酸化により、3価鉄が緑泥石構造中から放出されたためであると明らかにした。この結果は緑泥石の積層構造の熱的安定性の関係性はFe含有量と関係することを示している。また、緑泥石中の2価鉄と3価鉄の混合比が積層構造の安定性と関係することも示唆された。さらに、前駆体粘土鉱物から混合層構造を経て緑泥石化した試料選定と積層構造解析を開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は本研究に必要な電子顕微鏡に不測の故障が生じ、観察・解析を行うことができなかった期間があったため、温度変化に伴う緑泥石結晶成長機構の解明を十分に進める事ができなかった。しかし、緑泥石の結晶構造の熱的安定性と化学組成の関係を解明する事ができた。以上の理由から全体的におおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は温度変化に伴う緑泥石結晶成長機構の精密化に関して研究を行う。異なる温度条件で生成した緑泥石の積層構造を高分解能透過電子顕微鏡法観察で解析し、他の粘土鉱物との中間的な構造を持つ緑泥石が完全な緑泥石に変化する温度条件を推定する。また、本年度得られた緑泥石中のFe成分量と結晶化学的な特徴の関係についての知見と合わせて、生成温度の変化が積層構造に与える影響を明らかにする。本年度得られた成果と合わせて、研究成果を論文として報告する。

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公開日: 2021-12-27  

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