• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

鉱石試料への応用のための簡便な金属元素のマルチ安定同位体分析手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K14567
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

荒岡 大輔  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (60738318)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード安定同位体比 / 前処理 / 鉱石 / ホウ酸塩溶融 / イオンクロマトグラフ / アルカリ金属 / アルカリ土類金属 / 標準物質
研究実績の概要

本年度は、まずは当該研究課題を進める上で必須となる、イオンクロマトグラフィーとフラクションコレクタを接続させた同位体分析用前処理システム(IC-FC)の導入を進めた。他機関で既に導入済みの従来品からの仕様などを見直し、導入に向けた実験室の整備などを実施しており、来年度前半での使用開始を予定している状況である。
また、現在までに確立した部分の前処理手法や、マルチコレクタ型ICP質量分析計(MC-ICP-MS)にて確立した測定手法を用いて、地球表層環境から採取された実試料への金属元素安定同位体比の適用を行った。具体的には、海底熱水中のMg同位体比や(Eom et al. 2021)、河川水中のLi・Sr同位体比(Yoshimura et al. 2021; Yoshimura et al. submitted)、湖沼中の水や堆積物試料のSr同位体比(Dekov et al., 2021)などを明らかにした。これらの結果は、それぞれ他の分析項目と合わせて考察されることで、それぞれの成果について国際誌へ公表することができた。
今後は、IC-FCの導入・立ち上げを実施し、前処理環境を整備するとともに、MC-ICP-MSでの測定手法の確立を行う。また選定した複数の鉱石試料の標準物質を用いて、整備した前処理および測定手法により本手法の有効性を検証し、一連の安定同位体比分析手法の確立を目指していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は研究戦略部への1年間の出向により、申請者自身による実験作業などがほとんど実施できなかったため、前処理手法や測定手法についてはあまり進まなかった。代わりに、今までに同位体比測定を実施した試料の結果解析を行うことで、いくつかの成果について国際誌に公表することができた。
また、もともとは他機関のものを使用する予定であったIC-FCについて、他予算との合算により産総研への導入目処がついたため、導入のための手続きを進めた。今後はIC-FCの導入により、本研究を加速させることができる。

今後の研究の推進方策

まずは、IC-FCの導入・立ち上げを実施し、前処理環境を整備する。そして、今まで他機関で実施できていた、Li、Mg、Srの安定同位体比測定用の前処理を確立する。また、遷移金属元素についても本前処理手法を適用できる可能性があるため、MC-ICP-MSでの測定手法の確立を行いつつ、前処理手法についてもその有用性の検証を行う。
最後に、選定した標準物質を用いて、整備した前処理および測定手法により本手法の有効性を検証し、一連の安定同位体比分析手法の確立を目指す。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は研究戦略部への出向で、申請者による実験がほとんどできなかった。またコロナ禍で出張も制限されていたため、次年度使用額が発生した。また、購入したIC-FCの導入が2021年度となり、契約済繰越として2020年度には計上されていないため、大部分が次年度使用額として記載されている。
今年度は、各種試薬などの消耗品の購入や、分析機器の修繕費用などに使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] When a mid-ocean ridge encroaches a continent: Seafloor-type hydrothermal activity in Lake Asal (Afar Rift)2021

    • 著者名/発表者名
      Dekov V.M.、Gu?guen B.、Yamanaka T.、Moussa N.、Okumura T.、Bayon G.、Liebetrau V.、Yoshimura T.、Kamenov G.、Araoka D.、Makita H.、Sutton J.
    • 雑誌名

      Chemical Geology

      巻: 568 ページ: 120126~120126

    • DOI

      10.1016/j.chemgeo.2021.120126

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Magnesium isotopic composition of submarine vent fluids from arc and back-arc hydrothermal systems in the western Pacific2020

    • 著者名/発表者名
      Eom Jiwon、Yoshimura Toshihiro、Araoka Daisuke、Gamo Toshitaka、Kawahata Hodaka
    • 雑誌名

      Chemical Geology

      巻: 551 ページ: 119767~119767

    • DOI

      10.1016/j.chemgeo.2020.119767

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Systematic Assessment of Stable Sr Isotopic Compositions of Vent Fluids in Arc/Back-Arc Hydrothermal Systems: Effects of Host Rock Type, Phase Separation, and Overlying Sediment2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshimura Toshihiro、Wakaki Shigeyuki、Ishikawa Tsuyoshi、Gamo Toshitaka、Araoka Daisuke、Ohkouchi Naohiko、Kawahata Hodaka
    • 雑誌名

      Frontiers in Earth Science

      巻: 8 ページ: 591711

    • DOI

      10.3389/feart.2020.591711

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi