研究代表者は、本研究課題にて開発した三組アレイ震源検出手法を、日本全国に稠密に展開・整備される高感度地震観測網 Hi-net (防災科学技術研究所) の高感度加速度計連続記録や広帯域地震観測網 F-net (防災科学技術研究所) の地震波形記録をはじめ、全世界に展開する広帯域地震観測網に対して拡張適用し、 世界で発生する非地震性イベントの検出を行った。最終年度は、2022年1月15日に発生したフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山噴火前後に発生した、20から50秒の周期帯域に卓越するシグナルをもつ複数の震源検出と、大規模噴火に伴う運動履歴の解析を進め、日本地震学会2023年度秋季大会にてその成果を発表した。研究期間全体を通じて、開発した手法を日本全国に展開する多様な観測網への適用し、その適用可能性を向上させ、従来はその検出が困難であった、非地震性の震源検出やその運動学的モデリングを実施した。その結果、台風の上陸に伴って静岡県の山間部で発生した地震学的未記載の地すべり源の発見をはじめ、従来手法・アプローチでは見逃されていた地震源の新たな検出手法を提案した。また、火山噴火活動に伴う地震波励起源や、日本の日向灘地域をはじめとするスロー地震発生域において、超低周波地震源の検出を予察的に実行し、本研究課題の発展を見据えた萌芽的研究を実施することができた。本研究課題で得られた成果は、日本国内外の学術集会で発表し、またその一部を査読付き国際学術雑誌にて発表した。
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