研究課題
地震による滑りの様相は多種多様である。特に最近は、スロー地震とよばれる、ゆっくりとした断層すべりの存在が明らかになっている。そこで本課題では、そのような地震現象の多様性を理解するために、複雑にみえる地震現象に潜む普遍性を追求しようとしている。その中で、微小地震から巨大地震まで、マルチスケールな地震現象を総合的に理解することも目指している。このような大きな科学的な問題は、二年間という期間で全てを解決することは難しいが、二年目であり最終年度でもある本年度は、下記のように様々なアプローチによる着実な進展があった。特徴的な小規模地震である深部低周波地震について、地震波解析から、その発生機構についての知見を得たと同時に、地殻深部での応力の不均質性に関する情報も捉えた。大規模地震の滑り分布の推定手法について、精度の良い新たな手法を開発し、実データでの検証をすすめた。地震活動の解析において、群発的な特徴が個々の地震同士の相互作用に起因するというフレームワークを導入し、実データで妥当性を確認した。地震断層の滑りシミュレーションにおいては、できるだけシンプルなモデルからより現実的な地震を再現しようとするアプローチを追求することで、先験的情報にできるだけ依らない形で、最終的な地震のサイズがどのように確率的に決まるのか、調査を進めた。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Journal of Geophysical Research: Solid Earth
巻: 126 ページ: e2021JB022666
10.1029/2021JB022666
Geophysical Journal International
巻: 229 ページ: 800~813
10.1093/gji/ggab503