本研究では,カルデラから遠く離れた沿岸低地で採取した堆積物コアの火山ガラス含有率分析および津波の数値計算から,7300年前の鬼界カルデラ形成噴火に伴って発生した巨大津波の発生要因を推察した.堆積物コアに見られる砂質津波堆積物の下位にこの噴火による火山ガラスが含まれていたことから,カルデラから離れた地域では津波の到達前に火山灰の降灰が始まっていたことが明らかになった.この層序関係を説明するためには,鬼界カルデラにおいて津波の発生前に火山灰が噴出する必要があることから,噴火の終盤に発生するカルデラの崩壊が津波の発生要因である可能性が高いと結論づけられる.
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