本研究は,R2年度に開発したかんらん石中に含まれる含水量マップを作成するためのMatlabスクリプトを改良し,含水鉱物である蛇紋石などのノイズデータをフィルタリングできるようにした.改良したスクリプトを用いてキンバーライト中に含まれるかんらん石の含水量を検証した結果,およそ200ppm程度で一定の値を示し,粒子中の分布はほぼ均質であることが明らかになった.本年度はキンバーライトに加えて,B-typeやE-typeを示す東赤石や幌満のかんらん岩の分析も行ったが,含水量が少なかったためOHピークは検出されなかった. R2年度に購入したソフトプラズマエッジング装置を用いた表面処理に関する検証も進めた.かんらん岩薄片を作成し,コロイダルシリカ処理3時間に加えて,40秒以上のプラズマエッジング処理を施すと,EBSD分析において明瞭な菊池パターンが得られる事が明らかになった.かんらん石の結晶方位の違いによって菊池パターンの出やすさが異なる事も見出された.これらのデータはマントルの変形機構を調べる際の試料の前処理と分析条件を制約するための重要な基礎データとなることが期待される.
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