研究課題/領域番号 |
20K14582
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
太田 和晃 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震津波火山ネットワークセンター, 特別研究員 (20758586)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 南海トラフ / スロー地震 / 微動 / モニタリング |
研究実績の概要 |
南海トラフをはじめとする多くの沈み込み帯では,沈み込む海側プレートと陸側プレートの境界で周期的に巨大地震が発生しており,巨大地震発生領域の深部および浅部延長の領域では微動やスロースリップといった強い揺れを伴わないスロー地震が発生している.スロー地震の発生領域は巨大地震の一部として連動し得ると考えられており,またスロー地震自体が隣接する巨大地震領域の歪み状態に影響を与えている.したがって,スロー地震活動の把握と発生場の理解は巨大地震の規模や発生を予測する上で極めて重要である.スロー地震のモニタリングの一環として微動のモニタリングが行われているが,検出精度が低く,スロー地震発生域の歪み状態の評価には十分でない.本課題では,高精度の微動モニタリングシステムを構築し,このシステムによって検出される微動を用いてスロー地震発生域の歪み状態を即時評価することを目指す. 今年度は微動検出・震源決定の高精度化と高速化に取り組み,波形相関とGPU計算に基づいたアルゴリズムの開発を行った.イベント検出には,波形相関を用いて連続波形からイベント探索を行う計算コードを開発した.コードにはGPU高速演算処理を施し,科研費課題で購入したGPU計算サーバにて最適化を行った.また震源決定には,イベント同士の波形のネットワーク相関を利用した精密相対震源決定処理を行う計算コードを開発し,同様にGPU演算を用いた高速化処理を導入することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施予定であった微動検出・震源決定のGPUコードの開発を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に開発した計算コードを用いて,実データへの適用を行う.試験運用としては,観測データが豊富で微動の活動頻度が高い西南日本の四国地域の深部微動を対象にする.15年分のHi-net地震計記録の内,約5年分を用いて一次カタログを構築し,残りを差分としてカタログを随時更新するリアルタイム処理を導入する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大にかかる各種学会のオンライン化により,旅費として計上した経費を使用できなかった.次年度使用額は論文投稿費用として使用する予定である.
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