研究課題/領域番号 |
20K14590
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
滝沢 侑子 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (90822536)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 安定同位体 / 分子内 / 炭素 / 脂肪酸 / 分解 / GC-IRMS |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、生体内または環境中に存在する脂質が、どのように生産され、その後どのように分解されたかを評価する新規手法である「脂肪酸分子内(カルボニル基)安定炭素同位体比解析法」の実用化を達成することである。具体的には、(i)申請者がこれまでに開発した測定機器(ガスクロマトグラフ-同位体比質量分析計:Gas Chromatograph-Isotope Ratio Mass Spectrometerの改良型)の「測定条件の最適化」、および (ii)その測定法で得られた同位体比から、天然試料に含まれる脂質の生産プロセスと分解量を評価するための「方法論(プロキシ)の確立」をおこなうこと、であった。 2020年度は、所属研究室既存のGCに、カルボニル基由来の炭素を脂肪酸から分離するために必要不可欠な「熱分解炉」を新たに設置することと、同位体比の解析をおこなうためのソフトウェア(IonOS データ解析ソフトウェア Elementar IonOS-IMDP)を導入した。本年度(2021年度)は、測定条件の最適化、および、今後得られると想定される成果を、有効的に公表するための第一歩である「脂質分解において炭素同位体比に同位体分別が観察される」という観測的事実について、論文執筆をおこない、出版することができた(Takizawa and Chikaraishi, 2021, A large fractionation of 13C/12C ratios for palmitate metabolism in plants. Researches in Organic Geochemistry, 37, 67-72)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、2020年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、研究所内への立ち入りや勤務時間の制限がある程度継続していたため、研究課題全体のからみた進捗状況としては十分とはいえない。しかしながら、論文執筆・出版をおこなったことによって、今後得られると期待される研究課題の達成・公表に向けて、着実に歩みを進められていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19は今もなお継続しているため、今後とも感染状況等を注視しながら、可能な範囲で積極的に進めていく。 具体的には、今までに掲げてきた測定条件の最適化(GCカラムの種類、キャリアガスの流量、試料の導入量、熱分解炉の温度等について、十分な安定性と精度を確保できる条件の検討)に加え、実用化を視野に入れた際に必ず必要になる「分子内安定同位体比測定のための標準試料の作製」も同時におこなっていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:申請時点で参加することを検討していた国内学会・国際学会が、COVID-19の影響で開催延期・中止となったことによって、参加費・旅費に充てていた分の予算に余剰が生まれた。 使用計画:2021年度未使用分については、その時の研究の進捗状態と必要性に応じて効率的な運用を目指すが、もし2022年度も余剰が発生する場合には返還をおこなう予定である。
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