キリンの長い首の進化要因については、自然選択説や性選択説に準拠する仮説がいくつか提示されているが、未だ統一的な見解が得られていない。特に性選択説の根拠となる、キリンのオス特有の種内闘争行動「ネッキング」については、いつ・どういった種で獲得されたのかが不明であり、この行動が首の長さに与えた進化的な影響については慎重な議論が必要である。本研究では、当初の目標であった「ネッキング」の起源の解明にまでは至らなかったものの、ネッキング行動と関連した筋骨格システムの派生的変化の特定に至った。こうした成果は、今後化石種の行動を復元する上で役立つことが期待される。
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