研究課題
若手研究
体心立方構造(bcc)のフェライト相と面心立方構造(fcc)のオーステナイト相が混在する二相鋼が低温下で優れた強度と伸びを示すことが明らかになった。加工誘起マルテンサイト変態および両相の強調変形が優れた低温引張特性発現の要因であった。二相鋼では、結晶粒の微細化が低温下での強度と伸びの改善に特に有効であることを見出した。微細結晶粒の二相鋼は、4.2 Kで従来材と同程度の延性を有しながら、著しく高い強度を示した。
構造材料
4.2 Kでの変形では、発熱を伴うセレーションと呼ばれる局所領域の変形によってその機械的性質が変化することが示唆された。本結果は、極低温環境下での金属材料の変形についての基礎的知見を与えるものであり、その学術的意義は深い。一方で、本研究で最終的に得られた二相鋼の4.2 Kでの強度特性は従来材を遥かに凌駕しており、次世代型核融合炉の構造部材になりえる。よって、本成果は、将来的に核融合炉の普及を通して社会に貢献できる可能性を秘めている。