• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

高い形状自由度を持つCFRP部材の成形・接合同時3Dプリンティング

研究課題

研究課題/領域番号 20K14621
研究機関東京工業大学

研究代表者

中川 佑貴  東京工業大学, 工学院, 助教 (50837739)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード3Dプリンティング / 炭素繊維強化樹脂 / レーザー接合 / テーラード
研究実績の概要

本研究では,自由な形状を持つCFRP部材の製造と金属部材との接合を目的として,CFRP部材の成形・接合同時3Dプリンティング法の開発を最終目標としている.
まず3Dプリンティングされた樹脂と炭素繊維のレーザーによる接着方法の開発を行った.この方法では,まず下層の樹脂を3Dプリンティングし,炭素繊維トウをその上に配置し,さらにその上に樹脂層を積層する.そのままでは繊維と樹脂の接着が不十分であることから,レーザーで加熱し接着する.当該年度では,樹脂の厚さ,色およびレーザー条件が接着に及ぼす影響を実験的に評価し,接着メカニズムについて明らかにした.結果として,樹脂がレーザーを透過して繊維を加熱することで,接合界面が加熱され接着されることが分かった.レーザーを用いた加熱は,レーザーの走査速度と加熱温度が比例するため,温度コントロールが容易であった.
引張および曲げ強度に及ぼす影響も評価し,炭素繊維による補強の効果を確かめた.繊維なしと比べて約2倍の引張強さが得られたが,炭素繊維内への樹脂の含浸が不十分であったため,理論強度と比較して得られた強度が低く改善の必要があった.
さらに従来のプレス成形では難しい閉断面形状を持つCFRP部品の製造を行い,レーザー加熱によって高強度化が可能であることを確認した.炭素繊維は任意の場所,配向および量で配置が可能であることから,テーラードCFRP部品の製造への適用が期待される.
以上の業績を論文として執筆し,査読プロセスの段階にある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画段階において,レーザー援用3DプリンティングによるCFRPの成形法および金属への樹脂の3Dプリンティング法の開発を大きな目標としたが,そのうちのCFRPの成形法について結果が得られた.また予定にはなかったが,レーザーを3Dプリンターに組み込んだ独自の装置を開発したことで,製造が非常に容易となった.また金属への樹脂の3Dプリンティング方法として,カシメによる機械的接合による方法を考案し,樹脂のせん断強度程度の接合強度を得ることに成功している.一方表面のアンカー効果や化学的作用による接合についての検討は今後の課題である.

今後の研究の推進方策

開発したレーザー援用3Dプリンターを用いて,炭素繊維の本数,繊維を挟みこむ層の数,繊維の方向,樹脂の積層方向,密度およびレーザーの条件など様々なパラメーターを変更し強度評価を行い,各条件が強度に及ぼす影響の定式化を目指す.またレーザーによって金属を加熱しながらその上に樹脂を3Dプリンティングすることで,直接3Dプリンティングの可能性を検討する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から出張や学会への参加が大幅に制限されたため,旅費および謝金の使用がほとんどなかった.次年度も同様の状態が予想されるため,消耗品類の購入のために予算を計上する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 3Dプリンタ用材料開発と造形物の高精度化 (第12章)2020

    • 著者名/発表者名
      中川佑貴ほか
    • 総ページ数
      469
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      978-4-86104-793-0
  • [図書] CFRP/CFRTPの 界面制御、成形加工技術と部材応用 (第8章)2020

    • 著者名/発表者名
      中川佑貴ほか
    • 総ページ数
      586
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      978-4-86104-811-1

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi