研究課題/領域番号 |
20K14626
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐竹 うらら 大阪大学, 工学研究科, 助教 (70828409)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 研磨加工 / シリコンウェーハ |
研究実績の概要 |
半導体デバイスの基板材料であるシリコンウェーハの仕上げ工程で行われる両面研磨加工では,シリコンウェーハの高平坦化が最大の課題となっている.しかし,実験的検証の難しさがネックとなり平坦化理論の構築は進んでいないのが現状である.本研究は,“実験的に裏付けられた” 平坦化理論を構築することにより,両面研磨加工においてシリコンウェーハの平坦度を向上することを目的とする.具体的には,工作物の回転速度がシリコンウェーハの平坦度に及ぼす影響に着目し,「回転速度」,「工具‐工作物間の摩擦状態」および「加工液流れ」の関係を実験的に明らかにすることで,高平坦化を実現可能な新たな保持具の開発を目指す. 本研究の具体的な方針は,両面研磨加工において工作物の平坦度悪化をもたらす「工作物回転速度の変動」を抑制するというものである.この方針にもとづき今年度は,まず,これまでの理論的検討から見出されている「工作物上下面における摩擦状態の差が大きいほど回転速度が周期変動する」という関係を実験的に検証することを目指し,工作物回転速度の評価方法を構築した.具体的には,シリコンウェーハの代わりに厚さの大きな円板を加工し,円板側面の印を撮影して,画像解析により回転速度を算出する方法を構築した.そして,上下面の摩擦状態の差が大きい条件と通常条件の各々に対し,摩擦係数の評価と回転速度の評価を行い,「工作物上下面における摩擦状態の差が大きいほど回転速度が周期変動する」という関係を検証するとともに,摩擦係数の差と回転速度の変動の定量的な関係を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり,シリコンウェーハの両面研磨加工において,「工作物上下面における摩擦状態の差が大きいほど回転速度が周期変動する」という関係を実験的に検証するとともに,摩擦係数の差と回転速度の変動の定量的な関係を明らかにし,高平坦化を実現可能な新たなシリコンウェーハ保持具の開発に向けた指針獲得を進めることができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに構築した平坦化理論にもとづき,実際に,工作物回転速度の変動抑制に有効な保持具の開発を行う.具体的には,まず,保持具が加工液流れに及ぼす影響の解明を目指し,加工液流れの評価方法を構築する.シリコンウェーハの両面研磨加工における摩擦状態の上下差は,工作物下面への加工液の流入性の悪さに起因することから,工作物と保持具を模擬した透明治具を用いて注入トレーサ法による可視化を行い,特に,下側工具上の加工液流れを評価する.それにより,保持具が下側工具上の加工液流れに及ぼす影響を明らかにするとともに,工作物下面への加工液の流入促進に有効な保持具の設計を行う.そして,設計した保持具を実際に試作し,加工液流れ,摩擦係数,および工作物回転速度の評価と研磨加工実験を行い,開発した保持具の効果を検証する.
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