3D-BOS法は,背景型シュリーレン (BOS) 法という光学計測を「多方向から」行って3次元密度場を再構成する有力な流体計測法であり,多方向から光を通すことが難しい壁面近くの計測が課題となってきた.これを解決するため,本研究では鏡を使った新たな拡張方法「3D-BOS using Mirror」を提案・実証した.この手法は,光路を遮る壁面を鏡として使うことで,再構成に必要な多方向からの光路を確保する.光路の鏡面反射を考慮するほかは,従来型のノウハウをそのまま使える点が利点である. 本研究ではまず,従来の3D-BOSの定式化を鏡面反射がある場合に拡張し,その再構成を行うための解析プログラムを開発した.その検証として,架空のカメラ・鏡配置と理想的な円筒分布を仮定したモデルデータを作成し,本手法で再構成した分布が,真の分布と一致することを確認した.あわせて,カメラ台数変化による誤差の傾向などが,従来法と提案法で同様であり,したがって鏡を含むことで特有の誤差などが生じないことを確認した. さらに,カメラ・鏡の位置を撮影画像から推定するカメラキャリブレーション方法を検討した上で,単純な系における提案法の実証として,鏡から20mm程度に位置するロウソク上の密度分布の実験計測を行った.その結果,おおむね円筒状の密度分布を想定通りに計測することに成功した.再構成された密度値は,熱電対で計測した温度から求めた密度値とおおむね一致した (論文査読中).この結果から,より複雑な流れ場への適用が期待されるため,その予備検討として,ロケット打上げ時を模擬した,壁面に衝突する超音速ジェットの計測の試計測も行った.また,再構成結果の空間分解能等についての予備検討として,超音速乱流ジェット剪断層の試計測も行っており,取りまとめを行っている.
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