研究実績の概要 |
2020年度に発表した「磁性液滴の希薄懸濁液のレオロジー制御」(Physical Review Fluids, 2020)では単体の磁性液滴を対象にした解析を実施していたが,本年度は多体へと拡張し液滴の集団運動制御について解析しその性質を明らかにした(Physics of Fluids, 2022).平行平板に存在する多数の液滴にせん断流れを付加すると,流体力学的相互作用により自己組織化し流れ方向へと整列することは先行研究で報告されていた.本研究では,この磁性液滴の集団に対して平行平板に垂直な磁場を与えると,磁気相互作用が流体相互作用を上回ったとき結晶状の配列へと遷移することを明らかにした.また斜め方向に磁場を負荷すると,せん断流れに対して液滴の隊列が斜め方向に配列することを発見した.この技術は液滴の自己組織化の構造を外部磁場により自由に変更することを可能にするため重要な基礎研究である. またこの研究のスピンオフの研究として,平行平板間に存在するサイズの異なる2種類のカプセル(大カプセル・小カプセル)について,サイズ比によって小カプセルの挙動が異なることを明らかにした(Physical Review Fluids, 2022).平行平板間の大カプセルはせん断流れ下の流体相互作用により結晶状の隊列を形成するが,そこに混ざった小カプセルはサイズにより結晶の一部となるか,一部となるか下流へと流されるか,サイズ比により振る舞いが異なることを発見した.以上の成果は,サイズ比の異なるカプセルの分離などの応用が期待される.
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