研究課題
最終年度は、既存のナノチューブの外層へのカーボン(グラフェン)層の導入による新たな同心ヘテロナノチューブ構造の構築を実施した。市販の窒化ホウ素(BN)ナノチューブ(BNNT)を用意し、液体中への分散および真空濾過によりBNNT薄膜を形成して、ヘテロ層合成のテンプレートとした。光加熱型の化学気相成長装置を用い、エタノールを原料として合成温度1000-1500℃程度においてBNNT上へのカーボン層の合成を行った。得られたサンプルに対してラマン分光法、紫外可視吸収分光法、近赤外分光法、X線吸収分光法、透過型電子顕微鏡法などによる構造分析を行い、サンプル上の一部においてグラフェン化した層の形成を確認した。さらに、テンプレートのBNNT構造中においては炭素原子による窒素・ホウ素原子の置換は生じておらず、元の構造が保持されていることを確認した。これまでに実現された単層カーボンナノチューブ(CNT)外層へのBN原子層などのヘテロ構造構築に加えて、カーボン層合成を可能とする本手法により、ヘテロ構造作製の自由度が飛躍的に増大することが期待される。研究期間全体を通じて、単層CNT薄膜上へのBNNTの被覆による熱伝導度の向上を実現するとともに、異なる熱・電気・光学特性、酸化耐性などを有する異種ナノ物質の複合化により、両者の特長を併せ持つ機能化材料を構築できることを実証した。また、部分的に異なる同位体比率の炭素原子が交互配列した孤立単層CNTを作製した。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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