研究課題/領域番号 |
20K14669
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
出島 一仁 滋賀県立大学, 工学部, 講師 (20846810)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 温度分布測定 / 抵抗線CT / 相関解析 / 応答補償 |
研究実績の概要 |
熱流体機器の検査や評価のため,流路断面における流体の温度および速度分布を安価かつ簡便に測定する手法の開発が求められている.本研究では,医療分野などで利用されるCT(Computed Tomography)技術と,温度センサの一種である金属細線式測温抵抗体を組み合わせた温度分布測定法を開発する.加えて,流路上流と下流で同時に温度を測定し,その変動の位相差から流体の速度を推定することで,温度と速度の同時測定を実現することを目指す. 2021年度は主に温度変動の位相差に基づく速度の推定に取り組んだ.流路中で空気を流量一定に流しつつ,ヒートガンを用いて流路壁面を周期的に加熱することで,温度変動を持つ一定流速の流れを作り,そのときの流路断面温度を測定した.ここで,測温抵抗体を上流下流間で9 mm離して設置することで,この9 mmを通過するときに要する時間から空気流の速度を推定した.リファレンスとして,加熱なしの条件にて熱線流速計による速度測定を行い,温度変動から求められる速度との比較を行った.その結果,定性的には速度を捉えられていたものの,熱線流速計と比べると30%程度低い速度が算出されており,精度向上が必要であることが分かった. また,応答補償法についても検討した.空気と測温抵抗体の熱伝達を一時遅れ系と考え,推定した速度とCollisの式を用い,温度の応答補償法を構築した.今後は速度測定の精度向上を行いつつ,応答補償の有用性を検証していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,2021年度までである程度速度測定法を確立し,応答補償を実施することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
速度測定について,測定条件を最適化し,精度向上を図る.また,エンジンの排ガス測定など,より実際的な系での測定試験を行い,本手法の有用性を実証していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度後半に計測器(746570円)を発注したが,年度内に納品されなかったため,その分が残額となっている.これについては支払先は確定しており,物品が納品され次第,支出となる. 残りの予算は,今年度の物品費などに支出予定である.
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