研究課題/領域番号 |
20K14679
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原口 大輔 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (40767729)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多自由度超音波メス / 低侵襲外科手術デバイス |
研究実績の概要 |
本年度は屈曲1自由度の超音波メスの開発を計画として進めた。まず1自由度の屈曲および把持操作が可能な超音波メスの先端構造の構想設計を行った。超音波伝達構造(アクティブブレード)の屈曲部にはニッケルチタン超弾性合金を用い、帯板形状とすることで屈曲柔軟性を確保する構造とした。次にアクティブブレードの構造のみについて、シャフト部や把持部の材質およびニッケルチタンの屈曲部との接合方法を種々変更して試作を行い、超音波加振実験によって所望の超音波共振および振動振幅が得られるかを検証した。その結果、屈曲部のニッケルチタン帯板を他の材質のシャフト部や把持部に対してねじ止めや圧着等の方法で接合した場合、超音波振動でない横波成分が屈曲部に大きく励起されニッケルチタン帯板材が破断してしまう問題が明らかになった。そこでアクティブブレードのシャフト部、屈曲部、把持部の全てをニッケルチタンの一体構造で構成する方式を考案した。外径3㎜のニッケルチタンロッドを、屈曲部のみワイヤカット加工で約0.5mmの板状に薄くすることで屈曲柔軟性を実現する。このニッケルチタン一体構造のアクティブブレードを用いて超音波加振実験を行った結果、先行研究にて報告されている屈曲超音波プローブの7倍以上の振動振幅を観測でき、かつアクティブブレードが破断に至ることもなかった。さらに、超音波の共振追尾駆動装置を導入して共振時に定常的に振動子にかかる電圧および電流を計測したところ、市販のストレート型(多自由度屈曲構造のない)超音波メスと同等であったことから、本構造によって外科手術に所望の凝固切開性能を発揮し得る可能性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回は提案する1自由度屈曲の超音波伝達構造について、直線状態での安定した超音波振動が実現できることまでを確認できた。しかしながらそれに至るまでのアクティブブレードの試作、実験に予想以上の時間がかかったことに加え、振動子の選定、ホーンの設計、接合方法などパワー超音波構造のノウハウを修得することにも時間を要したため、本来計画していた屈曲状態での振動実験や構想した超音波メスの試作までには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
当年度で考案した、ニッケルチタン一体型の1自由度屈曲可能な超音波伝達構造について、屈曲状態での超音波振動の計測実験を行い有効性を検証する。その後、構想している1自由度屈曲可能な超音波メスの構造に組み込んで設計の詳細化・試作を行い、デバイスとしての性能を評価する。なお振動子やホーンの構造、駆動回路の実装などは重要なノウハウであるが、本研究の本質的な要素でなく研究推進を効率的にするため、市販の超音波メスの超音波駆動系をそのまま利用できる形でデバイスを試作し評価を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の遅れにより本年度試作予定であったデバイスが製作できなかったため。次年度に試作を行い、当該使用額を使途する計画である。
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