研究課題/領域番号 |
20K14685
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研究機関 | 東京工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高田 宗一朗 東京工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (30835517)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 埋設管 / 面内曲げ変形振動モード / 関東ローム層 / 水道管老朽化 / 非線形振動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,水道管路の維持管理効率化のための,水道管の面内曲げ変形振動モードを利用した埋設配管の老朽度センシング法の確立である.該当の振動モードの固有振動数は,管の厚さに対して1次式で比例する性質を有し,腐食による減肉に対して最も感度の高い振動モードである.本研究では地盤弾性支持下における埋設管の面内曲げ変形振動モードの振動現象の解明を目標として,研究開発をおこなう. 当初の研究実施計画に基づき,大振幅励振を受ける埋設管の面内曲げ変形モードの振動実験をおこなった.振動実験のための予備検討とし,埋設管への載荷をおこない,変位復元力特性の把握をおこなった.2020年度では数回の試行により僅かな非線形復元力の発生を確認したが,2021年度では土壌水分計を新たに導入し,水分量を変更しながら計測をおこなった.その結果,水分量が30%程度では系は漸硬ばね特性,40%程度では漸軟ばね特性を示すことが明らかとなった.これは天候により埋設管の復元力特性が変化することを意味し,振動計測時の非線形性の影響除去が必要であることを示唆するものであった.振動実験では埋設環境下での実験モード解析,大振幅下での自由振動計測と解析をおこなった.実験モード解析より,埋設環境の有無による面内曲げ変形モードの変形形状の変化は観察されなかった.模擬減肉を与えた場合の供試管を2022年度計画を前倒しで作成し,実験モード解析をおこなった所,埋設環境によらず面内曲げ変形モードを発現したものの,モード形状が若干ゆがんだ形状となることが判明し,その詳細についてさらなる解析が必要である.大振幅下の自由振動計測も先行実施したが,模擬減肉管,無減肉管共に埋設環境の実験データにAR時系列解析を適用した所,大振幅時に漸硬ばね特性,漸軟ばね特性の固有振動数挙動を確認した.以上を踏まえ,最終年度では埋設管の減肉検出性能に迫る予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定としていた埋設環境下での面内曲げ変形モードの実験モード解析による振動形状把握と大振幅下の自由振動計測を遂行できた.予備検討から土壌の水分量に応じて非線形復元力特性が変化するという新たな知見,埋設環境での非線形自由振動の発現など順調に知見を積み上げられてきたと言える.また最終年度に先立ち,模擬減肉管の作成に着手し,先行実験を実施できた点も順調に研究が進展している理由となる.
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今後の研究の推進方策 |
土壌の水分量に応じて非線形復元力特性が変化するという新たな知見の診断へのフィードバック,埋設環境での非線形自由振動のさらなる解析と模擬減肉管を用いた検出能の定量化に向けて研究を推進する予定である.
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