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2020 年度 実施状況報告書

構造物内部の音源位置推定手法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K14687
研究機関地方独立行政法人大阪産業技術研究所

研究代表者

喜多 俊輔  地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 研究員 (40761622)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード音源探査 / 深層学習 / 音響構造連成解析 / ドメイン変換
研究実績の概要

本研究では構造物内部に存在する騒音などの音源探査を行うために,Computer Aided Engineering(CAE)とDeep Neural Network(DNN)を用いた音源探査手法の実現に向けて研究を進めている.本研究の既報では,CAEドメインと実験ドメインのそれぞれのドメインにおいて,構造物の外部面で観測される加速度周波数応答より構造物の内部の音源位置の推定が可能であることを示した.
しかしながら,CAEドメインで構築した学習済みDNNを用いて実験ドメインで音源探査を行う場合は,観測データの相違ならびにそれぞれのドメインで構築されるDNNの識別境界が異なることが原因となり,音源探査精度が著しく低くなるという課題があった.
そこで本年度は,この課題を解決するために,半教師あり条件下において,Autoencoder(AE)を用いたドメインを変換する学習モデルを導入することで,学習済みDNNの音源探査精度の向上を目指した.
具体的には,(1)実験データの一部を学習データとして利用し,実験ドメインからCAEドメインのデータに変換するAEを構築.(2)(1)で利用しなかった実験データを学習済みAEを用いて疑似CAEデータに変換.(3)疑似CAEデータに対して,CAEデータのみで学習を行った学習済みDNNにより音源探査を実施.といったステップをとることでAEおよびDNNの学習の可否、変換精度と音源探査精度の評価を行った.
その結果,学習済みDNNによる音源探査の前段に,実験データを疑似CAEデータに変換するAEを組み込むことで,学習済みDNNの音源探査精度を大幅に改善することに成功した.また,AEおよびDNNの構築の際にマスキングによるデータ拡張を行うことで,さらに音源探査精度を向上できることを確認した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は,CAEデータのみで学習を行った学習済みDNNの実環境における音源探査精度の向上を目的として研究を行った.学習済みDNNを用いて実環境で音源探査を実施した場合,CAEデータと実験データの相違が主な原因となり音源探査精度が著しく低下するという課題がある.この音源探査精度の低下を改善するために,事前に半教師あり条件下で実験データをCAEデータに変換するAEを構築し,このAEを用いて実験データを疑似CAEデータに変換を行うことで課題を克服する手法を生み出した.
これまでの研究では,空間サンプリング間隔100 mmの実験ドメインのデータセットに対する学習済みDNNによる音源探査精度は,Root Mean Square Errorの評価指標で,142 mm以上を示していたが,今回の提案手法による音源探査の実験結果では109 mmまで改善することに成功した.さらに,マスキングによるデータ拡張を適用した場合は,77 mmまで音源探査精度を向上することが可能であるという結果を得た.
これらの成果は当初の計画通りにおおむね順調に進展しており,想定通りの成果が得られたと考えている.これらの成果は,2020年度に開催された国内学会で発表を行った.

今後の研究の推進方策

今年度の研究においては,実験データを疑似CAEデータに変換するAEをDNNによる音源探査の前段に組み込むことで,音源探査精度を向上させることに成功した.
しかしながら,学習条件が半教師あり学習であるため一部の実験データを使用する必要がある.そのため,実験データを収集できない場合には本手法を適用できない.
また本手法は,データ変換を行うAEの学習と音源探査を行うDNNの学習は個別の学習ステップとなっている.つまり,AEの学習では音源位置情報は利用されていないため,音源探査の精度を向上するための最適化が行われていない.よって,音源探査を行うDNNの識別境界を基準にデータ変換がされていないため,音源探査精度の向上には限界がある.
これらの現状を鑑み,今後の方針は構造物内部の音源情報を利用せず,構造物外部へのインパルス応答の情報を利用した音源探査手法の検討を行う.さらに,データを変換する学習モデルと音源探査を行う学習モデルが個別に学習を行うのではなく,ドメインのラベルを利用してドメイン特徴量と音源探査のための特徴量を同時に学習するモデルについて検討する.

次年度使用額が生じた理由

主たる要因として,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による国内・国外旅費の不執行のため当該差異が生じた.
翌年度分として請求した助成金と合わせ,研究のさらなる推進のために,高速演算のためのGPUやソフトウェアの購入,また国外の情報収集のため書籍・文献の購入および論文投稿に使用する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] DNNとCAEを用いた構造物内部の音源探査に関する研究 -Autoencoderを用いた実環境のデータ変換の適用-2021

    • 著者名/発表者名
      喜多俊輔
    • 学会等名
      一般社団法人 日本音響学会

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公開日: 2021-12-27  

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