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2020 年度 実施状況報告書

機能的電気刺激を用いて求めた運動モデルのヒト運動制御戦略理解への活用方法検討

研究課題

研究課題/領域番号 20K14693
研究機関大阪大学

研究代表者

松居 和寛  大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00868870)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード機能的電気刺激 / 内部モデル / バイオフィードバック / 筋電図 / 触覚提示 / 仮想現実 / 拡張現実 / リハビリテーション
研究実績の概要

本研究は,電気的筋拮抗比(EAA比),電気的筋拮抗和(EAA和)という概念を機能的電気刺激(FES)に取り入れて運動モデルを導出し,この運動モデルを介しヒトの運動制御戦略を説明できることを確かめ,以下の目的達成を目指すものである.
1)運動モデルの利用可能性を拡大しヒトの運動制御研究を推進する一助にする
2)運動モデルと脳機能との関連を見出しニューロリハビリテーションに応用していく
3)より高い治療効果が期待できるFES治療を実現する
2020年度は,上記に対し以下を進めた.1)に関して,運動モデル導出手法の適用範囲拡大・高度化を進めた.具体的には,EAA和や関節角度に依存した運動モデルの変化傾向に関する検討(国内発表1件,国際発表1件),簡便なモデル導出に関する検討(国内発表2件,国際発表1件)を行った.2)と3)を統合した,脳機能との関連を重視した本運動モデルの応用方法として,仮想/拡張現実(VR/AR)をプラットフォームとした筋電図(EMG)バイオフィードバック(EMG-BFB)システムを提案した(特願2021-36935,国内発表予定1件).また特に3)について,より治療効果を高めるために,触覚提示の導入も進めた(国内発表1件).加えて,EMG-BFBシステム以外で,新たなFES治療の可能性を探るため噛みしめ動作をインタフェースとしたFESの提案も行った(国内発表1件).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

交付申請書に記載した研究実施計画では以下のように研究を進める,としていた.1)静止状態における関節角度,EAA和,関節剛性の関係を求める.2)静止状態における伝達関数モデルパラメータと,1)で求めた関節剛性の関係を求める.3)動的な環境における関節角度,EAA和,関節剛性の関係を求める.4)先に1),3)で求めた関節角度と関節剛性の関係性を用いて,2)で明らかになった自然角周波数,むだ時間と関節剛性の関係を補正する.5)ある関節角度からある関節角度への軌道生成タスク中に,関節角度の変化,関節剛性と平衡点,EMGを取得し,筋拮抗比(AA比),筋拮抗和(AA和)を取得する.6)先に5)で取得した関節角度の変化を入力として,4)の内容を用いて適切に選択されたモデルを逆システムとして利用して運動コマンド相当の値を求める.7)求めた運動コマンド相当の値を5)で取得した平衡点,およびAA比と比較することでモデルの活用方法の妥当性を確認する.
1)が2020年度発表した内容に相当し,2)3)4)を順次進めていく.また,1)~4)の結果を待たずに,5)~7)をEMG-BFBの提案という形で並行して進めることができている.そのため当初計画よりも順調に計画が進められている.
※6)7)で期待される結果は,「逆システムを用いた運動コマンドの推定」に限らず,「当該運動モデルを順システムとして利用した,EMGからの実軌道推定」でも得られるため,実施計画を読み変えて進めている.

今後の研究の推進方策

【現在までの進捗状況】にある1)~4)と5)~7)は引き続き並行して進める.5)~7)についてはEMG-BFBの開発を積極的に進め,VR/AR,触覚提示との結合など,より高い治療効果を実現する新しい要素の追加検討を進める.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響により,実験システムの製作に遅延が生じたため.次年度使用額分は次年度に当該実験システムの製作に充て,翌年度請求額は当初予定通り使用する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] 協調的な機能的電気刺激を用いた中手指節関節運動のモデル化2021

    • 著者名/発表者名
      永井美和, 松居和寛, 厚海慶太, 谷口和弘, 平井宏明, 西川敦
    • 学会等名
      第26回ロボティクスシンポジア
  • [学会発表] Identification of Metacarpophalangeal Joint Movement Model Using Functional Electrical Stimulation Based on Muscle Synergy Hypothesis---Confirmation of the Three Models of Finger Movement2020

    • 著者名/発表者名
      Miwa Nagai, Kazuhiro Matsui, Keita Atsuumi, Kazuhiro Taniguchi, Hiroaki Hirai, Atsushi Nishikawa.
    • 学会等名
      EMBC2020, 42nd Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
    • 国際学会
  • [学会発表] Modeling and Stiffness Control of Elbow Joint Movement Using Functional Electrical Stimulation2020

    • 著者名/発表者名
      Shuogang Gong, Kazuhiro Matsui, Ryunosuke Fukui, Hiroaki Hirai, Atsushi Nishikawa
    • 学会等名
      EMBC2020, 42nd Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
    • 国際学会
  • [学会発表] ヒトの指腹部へ触覚提示を行うデバイスの開発と知覚の定量化2020

    • 著者名/発表者名
      下城拓真, 松居和寛, 厚海慶太, 谷口和弘, 平井宏明, 西川敦
    • 学会等名
      第38回日本ロボット学会学術講演会
  • [学会発表] 筋シナジーに基づく機能的電気刺激を用いた中手指節関節運動のモデル化2020

    • 著者名/発表者名
      永井美和, 松居和寛, 厚海慶太, 谷口和弘, 平井宏明, 西川敦
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2020
  • [学会発表] 噛みしめ動作をインタフェースに用いた機能的電気刺激によるヒト手指関節制御の検討2020

    • 著者名/発表者名
      大野正太朗, 松居和寛, 谷口和弘, 厚海慶太, 永井美和,平井宏明, 西川敦
    • 学会等名
      日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2020
  • [学会発表] 機能的電気刺激(FES)を用いたヒト関節剛性制御の姿勢依存性の検討2020

    • 著者名/発表者名
      松居和寛, 福井隆之介, Shuogang Gong, 平井宏明, 西川敦
    • 学会等名
      第59回日本生体医工学会大会, 2020年5月25-27日
  • [備考] 大阪大学大学院基礎工学研究科 身体運動制御学グループ 西川研究室

    • URL

      http://hmc.me.es.osaka-u.ac.jp/index.html

  • [産業財産権] 電気刺激装置及び電気刺激方法2021

    • 発明者名
      松居和寛
    • 権利者名
      松居和寛
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2021-36935

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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