本研究の目的は,「フレキシブルなイオンゲルセンサの開発」である.イオンゲルは電気伝導性を持つ高分子である.ソフトマテリアル内にイオンゲルの流路を配置した場合,そのソフトマテリアルに接触刺激を与えると,イオンゲルの流路に歪みが生じる.このイオンゲルの流路の両端で抵抗値を測定すると,その歪みが抵抗値変化を起こすことが知られている.よって,イオンゲルを接触センサとして利用できる.本研究では,シリコーンゴムにイオンゲル流路を組み込むことでやわらかく,外側が加工しやすい接触センサの開発を目指した.これまでの研究から,イオンゲルセンサは粘度が高いため,流路によってはイオンゲルを注入することが困難であった.イオンゲルの材料のーであるイオン液体は,イオンゲルと同様の化学特性を持ち,粘度は低い.そこで,イオン流体を用いて接触センサの開発を進めてきた.最終年度は,当初の研究計画であった,①配置と軟度の組合せによる接触センサの特性変化の解析,②接触位置推定センサの性能解析,③ヒゲロボットの作製について研究のうち,①,②に加え,④イオン液体接触センサによる形状識別に取り組んだ.①:複数の分岐する流路,らせん型流路をもつイオン液体センサを開発し,特性解析をおこなった.分岐の仕方により感度と測定範囲が変化すること,完全な立体流路でもセンサとして機能することを明らかにした.②:今年度は,開発した位置特定接触センサを用いてアームを作製し,把持物体の角度推定ができることを示した.④:イオン液体センサを用いて,従来システムより高精度・少ない接触回数で形状識別を行えるセンサシステムを開発した.
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