研究課題/領域番号 |
20K14699
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
山野 彰夫 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90844184)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 局所フィードバック / 自励振動 / 最適化 / バイオミメティクス |
研究実績の概要 |
本年度の研究目標であった(A) 推進体の数値解析モデルの構築,および (B) 各流体 (水中・高粘性流体中) の条件での推進体に作用する流体力の推定に取り組み,実験データから各流体中での泳動時に推進体に作用する流体力を明らかにした. また,推定された流体力のパラメータをもとにして,実験結果を再現する数値解析モデルを構築し,重心の移動速度などについて実験結果の再現性を確認した. (A)推進体の数値解析モデルの構築: 質量および全長はそれぞれ5.5 kgおよび1.49 mである多関節推進体の実験モデルを対象にした.実験モデルに対応する数値解析モデルにおいて,各リンクに作用する流体力は付加質量と摩擦抵抗・圧力抵抗の影響を考慮したモデルを採用し,付加質量と抗力係数は未知のパラメータとした. (B)推進体に作用する流体力の推定: 水中・高粘性流体中(1.31 ~ 2270mm^2/s)で駆動させた時に得られた関節の座標値およびリンク間相対角の計測データをもとに無香料カルマンフィルタ(Unscented Kalman Filter: UKF)を用いて付加質量と抗力係数の未知のパラメータを推定した.同定結果により,水中(Re~10^5)では速度の2乗に比例する圧力抵抗モデル,高粘性流体中(Re~10^2)では3/2乗に比例する摩擦抵抗モデルが有効であることを確認した.パラメータ同定後の数値解析モデルの重心位置の速度と計測値の比較を行い,時間平均速度に関してはおおむね一致していることを確認した.さらに,うねり運動によって接線方向の抗力係数が増加することも確認された. 構築した数値解析モデルを用いて,計算機上で各流体の条件で推進特性の評価規範に対して最適なうねり運動の探索を試みることが今後の課題である.得られた最適な挙動を元に自励発振を用いた適応運動の制御パラメータの探索を試みる予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究目標であった数値解析モデルの構築において,各流体の粘度の条件で実験モデルの挙動を再現する流体力パラメータの同定に成功した.以上の研究成果を国内会議で発表しており,おおむね研究が進展していると考えられる. 現在の数値解析モデルでは,うねり運動の振動数が0.5Hz以上では実験結果の再現性が悪化するため,この領域ではアクチュエータの動特性のモデル化が必要であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
構築した数値解析モデルを用いて,計算機上で多目的最適化の手法により,各流体の条件で推進特性の評価規範に対して最適なうねり運動の探索を試みることが今後の課題である.得られた最適な挙動を元に自励発振を用いた適応運動の制御パラメータの探索を試みる予定である. 初年度の研究成果の論文投稿を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で学会がオンライン開催となり,旅費が不要であったため. 実験モデルの駆動系の経年劣化に対する整備費に使用する予定である.
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