研究課題/領域番号 |
20K14702
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
有田 輝 立命館大学, 理工学部, 助教 (60843993)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 近接覚センサ / 赤外反射型センサ / 接触遷移制御 / センサスキン |
研究実績の概要 |
ロボットアームの腕部を覆うセンサの開発と,その出力をアーム全体の運動生成に利用する制御則の開発を行った.開発したセンサには従来の平面用赤外光反射型センサの演算回路を改良したものを搭載した.これによりセンサはアーム表面にはたらく仮想的な反力を直接出力するため,複雑な事後処理なく制御に利用することができる.制御則は仮想的な反力にもとづいて反射的に動作を生成するものとした.複数のリンクにセンサを追加実装する場合でも制御則が複雑化しないという特徴がある.現在までにセンサの検出性能の評価,制御則に関するシミュレーション実験と実機実験が完了している. 以上の研究内容は実施計画における後半に予定されていたものであるが,順序を変更して先に実施した.順序を変更した理由は,当初使用を予定していた1自由度の直動実験システムの入手性が悪化し,一方で多自由度のロボットアームが使用可能になったためである. 腕部を覆うセンサの開発のために3Dプリンタを購入した.ロボットアームに元々装着されている外装の形状は一部が複雑であるため,センサを実装するのが難しい.そこでこれをさらに覆う外装を造形した.これにより演算回路の改良に焦点をあてたセンサ開発を実行できた. 以上の業績は本研究課題の目的であるロボット全身の接触遷移を制御する方法の究明において最も重要な部分にあたる.接触遷移の制御手法については本研究課題開始前から着手している研究成果をもとに開発するため,本研究課題達成において最も検討時間が必要だと考えられる本内容に計画よりも早い段階で着手できたことは,今後の計画遂行を促進すると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の進捗状況は当初の計画の後半を先に実施した状態である.技術的な達成状況では,計画全体の3分の1程度の進捗であると考えている.今後本成果を論文化するために必要な時間を考慮し,「おおむね順調」と判断した. 順序を変更して後ろ倒しとなった内容については,実験システムに多自由度のロボットアームを利用して実施可能であるため,全体の計画の遂行を妨げないと考える.
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今後の研究の推進方策 |
まず現在進行中である腕部を覆うセンサとそれを用いた制御に関する評価を継続し,論文にまとめて投稿する. 次に,先行して着手している接触遷移の制御を腕部に適用し,手先以外の接触遷移制御を実現する.ここでは既に確立している接触遷移制御の手法を,ロボットアームの姿勢や接触位置の違いによる接触力への影響を考慮したものに改良する必要がある.これについては3自由度のロボットアームを用いたシミュレーションで既に検討を行っており,この結果を参考にして遂行する計画である. その後,手先にセンサを追加実装し,手先と腕部の接触遷移を制御する手法の開発に取り組む.例えば手先は接触のためにアプローチしつつ,腕部では接触を避けるような運動を実現する.本内容は研究実施計画の最終段階で予定していたものである.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入を予定していた物品の入手性が悪化したことをきっかけとして,計画の軽微な変更を行ったため. 次年度使用額は申請時と同じく物品費として使用する.
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