研究課題/領域番号 |
20K14703
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研究機関 | 鶴岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
和田 真人 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10803752)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ハイドロゲル / ソフトマテリアル / ソフトロボティクス / ソフトメカニクス |
研究実績の概要 |
ソフトマテリアルは,生物模倣応用,ソフトロボットへの応用を目指した研究において,摩擦研究に広く用いられており,本研究においても,その経験が活かされるのではないかと考えられる.ソフトメカニクス等の低摩擦材料開発を目指した研究として,高分子ハイドロゲルの応用研究を進めてきた.例えば,電場を印加することにより,ゲル内部の水が表面に移動し,潤滑層を形成し,摩擦が低下することがわかり,電場によってゲルの摩擦を制御する方法を確立した.また,応募者らのグループでは,レーザー加工機によりゲルを切断した場合,表面粗さが増加し,見かけの接触面積が低下し,摩擦力が低下するという結果も得ており,この技術も今後,ソフトメカニクス等の部品への応用が期待できる.また,申請者は,ゲルの摩擦制御に関する研究を進めてきた経験があり,光応答性高分子とゲルの摩擦研究の経験が組み合わさる事により,新しいゲルの摩擦研究を開拓することに繋がるのではないかと考えられる.また,本研究の学術的な特色は,摩擦現象という物理現象を,結晶化現象という化学的な手法を用いて制御しようという基礎的な研究であることに加えて,さらにその研究から得られた結果をソフトメカニクスへ応用することにある,基礎から応用を見据えた総合的な学問の構築につながるのではないかという点である.摩擦現象は古くから研究されてきていることに加えて,結晶化に関する研究は広くなされてきた経緯がある.本研究では,形状記憶ゲルが用いられ温度制御(サーマルスイッチング機構)による超形状・剛性可変把持機構を有するロボットハンドを開発することが,本研究の目的である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では,形状記憶ゲルをソフトメカニクスを構築するために結晶性高分子の選定と形状記憶ゲルの温度応答性に関する力学特性評価を現在行っている.形状記憶ゲルを把持部に用いるための設計を進行中であり,三次元のインサート造形による試作を行っている段階である.形状記憶ゲルを把持部に取り付け,ペルチェ素子による温度応答性の簡易システムは完成しており,温度制御に関する問題は解決している.形状記憶ゲルへの伝熱機構において,現在は局所的な伝熱機構であるため目的としている把持機構には至っておらず,こんご伝熱機構を改良することを予定している.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,形状記憶ゲルに用いる結晶性高分子の選定をもとに,摩擦試験,伝熱試験などの試験を行い把持機構への展開を行う.把持機構の機械設計においては,伝熱特性を考慮した設計を行い,3Dプリンターにて試作を継続する.年度内でのロボット実機への搭載を目標とする.
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