ソフトマテリアルは,生物模倣応用,ソフトロボットへの応用を目指した研究において,摩擦研究に広く用いられており,本研究においても,その経験が活かさ れるのではないかと考えられる.ソフトメカニクス等の低摩擦材料開発を目指した研究として,高分子ハイドロゲルの応用研究を進めてきた.例えば,電場を印 加することにより,ゲル内部の水が表面に移動し,潤滑層を形成し,摩擦が低下することがわかり,電場によってゲルの摩擦を制御する方法を確立した.また, 応募者らのグループでは,レーザー加工機によりゲルを切断した場合,表面粗さが増加し,見かけの接触面積が低下し,摩擦力が低下するという結果も得てお り,この技術も今後,ソフトメカニクス等の部品への応用が期待できる.また,申請者は,ゲルの摩擦制御に関する研究を進めてきた経験があり,本研究の学術 的な特色 は,摩擦現象という物理現象を,結晶化にて制御しようという基礎的な研究であることに加えて,さらにその研究から得られた結果 をソフトメカニク スへ応用することにある,基礎から応用を見据えた総合的な学問の構築につながるのではないかという点である.本研究では,形状記憶ゲルが用いられ温度制御 (サーマルスイッチング機構)に よる超形状・剛性可変把持機構を有するロボットハンドを開発することが,本研究の目的である.当該年度では,形状記憶ゲルの 三次元造形技術を確立し,ゲル表面の粘着特性に着目したロボットハンド把持部の開発に成功した.最終年度では,人協働ロボットへの装着を実施し実機としての試作を行った.
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