研究実績の概要 |
バックドライバビリティ切替の前提条件となるバックドライブしにくい条件について,歯車の効率に関するNiemannの理論と両角らの遊星歯車の効率に関する理論から解析した.その結果,これまで検証してきたとおり固定歯車と出力軸の歯車との歯数差が小さいほどバックドライブしにくいことがわかった.ただし,前述の歯数差がこれまで予想してきた数値より小さくなった. そこで,一昨年度開発した装置を改良し,上述の理論解析が正しいか検証した.一昨年度開発した実験装置ではポリアセタール製歯車を使用していたため,歯面強度不足により歯が摩耗しバックドライブ時の再現性が得られないことが課題であった.このため,歯の材質を金属に変更し耐摩耗性を向上させた.また,歯車を支える軸の直径を大きくし,剛性を向上させた. 開発した装置において,振幅1 mm 周波数5, 8.3, 12.5 Hzの振動をモータと偏芯円カムで付与した.その結果,バックドライブが生じにくくなる歯数差が1であり,前述の理論から算出した歯数差1.42とほぼ合致し,これまで提唱した理論から算出された値より正確になった.バックドライブ時の出力軸の回転速度を計測したところ再現性があることがわかった.ただし,固定歯車もしくは出力軸の歯車の歯数がキャリアの本数で割り切れる値の場合,上述の歯数差が1でもバックドライブしやすくなった.また,出力軸の回転速度に関しては,加振周波数が高いほど速度が大きくなった.現在,バックドライブ時の出力時の回転速度に関して終端速度が存在するか定量的な理論解析を行い,検証実験を予定している.
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