最終年度の成果として,日本ロボット学会誌に学術論文「冗長マニピュレータの動力学特性による操作力多面体の並進」を掲載した.またAdjacent Digital Politics Ltdが発行する学術雑誌Open Access Governmentに本申請課題の紹介記事「Kinematic redundancy: Kinetics for use with redundant manipulators」が掲載された.他にも冗長マニピュレータの運動学的冗長性を利用した簡易な計算で実現可能なセンサレス衝突検出手法を提案し学術雑誌に投稿したが,不採択となり研究期間中に学術論文の掲載には至らなかった. 研究期間全体を通した研究成果として,研究課題申請時に主課題としていた動的可操作性多面体並進に関する理論の冗長自由度2以上への拡張については,テンソル代数とグラスマン代数の関係からグラスマン代数で得られた冗長性による内部運動空間をテンソル代数に変換し基底ベクトルを求めるアプローチや,サブタスクの基底ベクトルを用いるアプローチ等行ったが,一般性を損なう制約条件が必要という結論から冗長自由度2以上への拡張は断念した.しかし動的可操作性多面体の並進に関する理論を静力学に拡張することで,関節駆動トルク制限内出力可能な操作力の集合を表す操作力多面体が手先速度および冗長性による内部運動速度のテンソル積に比例し,手先加速度および冗長性による内部運動加速度に比例することを明らかにし,また作業空間と冗長性による空間の直交性を利用することで手先への未知操作力入力条件下において操作力入力とは独立してアームへの衝突を簡易な計算で実現可能なセンサレス衝突検出手法を新たに提案するに至った.
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