研究課題/領域番号 |
20K14709
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
高山 彰優 山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (70396589)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高温超伝導体 / 有限要素法 / 最適化 |
研究実績の概要 |
著者等は,燃料ペレットをプラズマコアに超電導リニア加速(Superconducting Linear Accleration: SLA)システムの数値シミュレーションのため,高温超伝導(High-Temperature Superconductor: HTS)薄膜内の遮蔽電流密度を解析する有限要素法コードを開発してきた.本研究では,SLAシステムの加速性能を改善するため,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)に着目した.
本研究でも,SLAシステムの加速性能を数値的に向上させることを目的に,HTS薄膜内を流れる遮蔽電流密度を解析する有限要素法の数値・シミュレーションコードを開発した.さらに,同コードに多目的最適化のGAであるNSGA-IIを実装し, SLAシステムの加速性能を調べた.さらに,加速用コイルの形状最適化法としてon/off法とNGnet法を採用した.
2020年度の研究成果はオンラインによる2件のポスター発表を実施し,オンラインによる口頭発表が1件である.さらに,本研究に関連する論文が筆頭著者で2報発行された.以上の研究を遂行するにあたって,2020年度では,旅費にはほとんど使用せず,学会参加費や物品購入費として,科研費を使用した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,超電導リニア加速(Superconducting Linear Accleration: SLA)システムの加速性能を数値的に向上させることを目的に,HTS薄膜内を流れる遮蔽電流密度を解析する有限要素法の数値・コードを開発した.さらに,同コードに多目的最適化の(Genetic Algorithm: GA)を実装し, SLAシステムの加速性能を調べた.
加速用コイルの形状最適化法として,on/off法とNGnet法を採用した.その結果,加速用コイルの形状最適化として,NGnet法を適用した結果,一様電流分布の場合より,ペレット速度が約2.8倍増加した.さらに,加速用コイルの電流分布が,on/off法とNGnet法で決定されたが,on/off法の場合,電流分布が疎らであるため,製作の観点から現実的ではない.一方,纏まった電流分布であるため,コイル作製の実現性があることが明らかになった.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究課題として,本研究の最適化結果が最適解であるかの検討が必要であると考える.これは,今回の結果が準最適解に陥ってる可能性があるためである.このため,まず,等価回路法を用いた遮蔽電流密度解析の数値コードを用いて得られた結果と現在の数値結果を比較し,離散化法による最適解の違いがないを調べる.次に,本研究で使用した既存のNSGA-IIツールで得られた最適解と前述とは別のツールで得られる解が等しくなるかを比較検討する.
また,外側にも加速用コイルを配置した場合のペレット速度を計算し,目標速度である5km/sに達するかを調べる.さらに,超伝導リニア加速システムの遮蔽電流密度の時間発展の可視化も進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題における研究成果を学会で発表する予定であったが,2020年1月中旬に新型コロナウイルス感染症患者が日本国内で確認され,同年春には全国的に緊急事態宣言が発せられる事態となり,県をまたいだ移動が困難となった.同年5月下旬には一旦収束したかに見えたが,8月初旬に,コロナウイルスの第2波が到来した.さらに,11月初旬には同ウイルスの第3波が襲来し,現在は感染拡大の真っ只中であり,未だに収束の見込みは立っていない.結果として,令和2年度の研究成果の報告等はオンラインで実施されたため,出張旅費を全く使用しなかった.これが次年度使用学が生じた理由である.
今後の使用計画として,令和3年度以降,世界中でワクチン接種が進んでいる.この動きによって,コロナウイルス感染が減少した場合,対面での学会開催が見込まれると考えられるので,学会参加の際に発生する旅費や参加費等に使用する予定である.また,最適化のための計算機環境を整えるため,ワークステーションの購入も検討している.
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