本研究ではインダイレクト型ハイブリッドDC-DCコンバータの具体的な回路構成を例として,理論解析に基づく回路設計および制御器設計に関する手法を体系的にまとめ,一般的なインダイレクト型の回路トポロジーに応用できる理論構築に取り組んだ。本研究で得られた成果を以下にまとめる。 1.定常特性の理論解析と高出力化:2つの回路状態で動作するインダイレクト型ハイブリッドDC-DCコンバータに的を絞り,これらの動作モードにおける各電圧電流の振る舞いを解析し,デューティ比等に対する動作点を求める手法を確立した。また,各回路素子で生じる損失解析を行い,高出力化および高効率化を実現するために必要な素子選定を可能にする知見を得た。また,絶縁型の回路構成を検討することで,より一般的な回路トポロジーに適用できる可能性を示した。 2.過渡特性の理論解析と制御器設計:定常特性の理論解析でも利用した回路モデルをベースにして動作点まわりの小信号モデルを導出する手法を検討した。この際,各素子の内部抵抗を考慮して状態方程式および伝達関数を導出し,制御器設計に利用する手法を検討した。また,各キャパシタ容量の大きさとこれらの比率によって動特性が変化することを明らかにした。以上の成果より,制御器設計だけでなく,回路設計にも応用できる理論が得られた。 3.制御機構を含めた包括的な実機検証:当初計画では制御ICの設計・試作までを考慮していたが,予算減額に伴って制御ICの試作が困難となったため,デジタル制御ボードを利用した制御器開発および実機検証を中心とした計画に切り替えた。今回実施した実機検証より,各パワー半導体素子に対するゲート駆動用の電源供給手段および起動/停止シーケンスの確立が不可欠であることが分かった。特に,突入電流を抑制するための制御系設計が必要であり,実際のアプリケーションへの応用を視野に入れた知見が得られた。
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