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2021 年度 実施状況報告書

電力供給の耐災害性向上に寄与する需要家リソース活用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K14716
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

中村 勇太  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60846616)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード需要家リソース / 蓄電池 / 電気自動車 / 電力系統 / 需給調整 / 電圧制御
研究実績の概要

近年、地震や台風などの災害の増加・規模の拡大が深刻になりつつあり、社会インフラの中核を担う電力システムの耐災害性を向上させることは、今後ますます重要な課題となるだろう。その一方で近年、需要家が所有している可制御機器(需要家リソース)を電力系統の運用に貢献することが期待されており、地理的に分散しているリソース群の活用により電力供給を安定的に継続できる可能性が高まる。そこで本研究の目的は、電力系統に分散的に設置されている需要家リソース群の活用を前提とした平時・災害時の運用手法を確立することである。
2021年度は、経済性および耐災害性の両者を考慮したシステムに関する基礎的な検討として、災害時の活用能力評価を行うための指標やリソースの運用手法について検討するとともに、マルチユースとして使用した場合の検討を行った。検討した活用能力評価を行うための指標は、どれだけの電力を継続して供給し続けられるか、といった観点で耐災害性を評価でき、運用計画策定のための最適化計算にもそのまま組み込むことが可能となった。また、平時において周波数制御や電圧制御機能を持たせることを前提としたリソース計画策定手法について確立した。本手法によりリソース所有者はその活用による対価を含めた経済性が向上し、また非常時にも貢献できるといったメリットが期待される。
また、災害時に発生するような電力系統の擾乱発生を想定した、リソースを有するシステムの制御法についても検討を行った。検討したシステムをモデル化したシミュレーションにより、検討した制御方法の有効性検証まで実施した。2021年度は検討したシステムを改良し、より現実に即したモデルとするとともに、実証試験に向けた準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度は電力系統に分散的に設置されている需要家リソース群の活用を前提とした平時・災害時の運用手法を確立することはおおむねできた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症対策としてのオンライン教材作成やオンラインでの学生指導のため、最適運用時の需要家リソースの耐災害性および経済性の両者に関するポテンシャル評価等、計画通りの進捗度に達することができなかった事項もあった。
2021年度は2020年度で取り組むことができなかった事項について着手し、概ね計画通りのペースですすめることができたが、以前として、2020年度の遅れを挽回には至っていない状況にある。

今後の研究の推進方策

今後はこれまで検討した手法を適用し、最適運用時の需要家リソースの耐災害性および経済性の両者に関するポテンシャル評価を引き続き実施する。また、リソースを有する需要家が一つのエージェントとみなし、耐災害性および経済性で最適となるような運用方法に関する検討を遂行していく。さらに、災害時に発生するような電力系統の擾乱発生を想定した、リソースを有するシステムの制御法についても、依然として改良の余地があるため、引き続き検討を進める。
当初計画で予定していた実証試験構築については、上記に示すシミュレーションを用いた研究の進捗状況に応じて、試験内容の変更や修正を適宜行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

大きな次年度使用額が生じた理由は2020年度を中心に、新型コロナウイルス感染症対策として、予定を変更してシミュレーションに関する部分を優先的に着手したこと、および学会がオンラインで開催されたため旅費が不要になったことが挙げられる。
次年度使用額は、シミュレーション環境(計算機環境)や実証試験環境の構築に必要な物品等の購入などに当てる予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 可制御直流負荷が接続された自励変換装置によるFrequency-Watt制御およびVolt-Var制御2022

    • 著者名/発表者名
      中村 勇太, 青木 睦, 加戸 良英, 壹岐 浩幸
    • 雑誌名

      電気学会論文誌B

      巻: 142 ページ: 106-113

    • DOI

      10.1541/ieejpes.142.106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 需要家間P2P電力取引の経済性および耐災害性の潜在的評価2021

    • 著者名/発表者名
      中村勇太
    • 雑誌名

      資源・エネルギー学会 論文誌

      巻: 42 ページ: 442-449

    • DOI

      10.24778/jjser.42.6_442

    • 査読あり
  • [学会発表] 住宅群から提供される需給調整力を活用した発電機起動停止計画の検討2021

    • 著者名/発表者名
      堤優菜,青木睦,中村勇太
    • 学会等名
      電気学会全国大会
  • [学会発表] 水電解装置が接続された自励変換装置による系統安定化制御 ― 負荷の非線形性を考慮したシステム ―2021

    • 著者名/発表者名
      中村勇太,青木睦,加戸良英,壹岐浩幸
    • 学会等名
      電気学会全国大会
  • [学会発表] 距離別託送料金制度における個人間電力取引の 経済性評価モデルの開発2021

    • 著者名/発表者名
      堤大知,中村勇太,青木睦
    • 学会等名
      電気学会全国大会
  • [学会発表] 配電系統における最適充電制御される電気自動車を用いたオフグリッドの経済性評価2021

    • 著者名/発表者名
      中村勇太,青木睦,彦山和久,野々山公亮
    • 学会等名
      電力系統技術研究会
  • [学会発表] 実気象データに基づく架空電線温度算出に関する一検討2021

    • 著者名/発表者名
      中村勇太
    • 学会等名
      令和3年度電気学会電気・情報関係学会北海道支部連合大会
  • [学会発表] 遠隔地のオフグリッド化に貢献する蓄電池充電に関する検討-充電設備の位置および利用状況が充電特性に与える影響-2021

    • 著者名/発表者名
      中村勇太,青木睦,彦山和久,野々山公亮
    • 学会等名
      電力技術・電力系統技術合同研究会
  • [学会発表] Optimal Charging Method for Batteries in Distribution System to Supply Demand in Remote Area2021

    • 著者名/発表者名
      Yuta Nakamura, Mutsumi Aoki, Kazuhisa Hikoyama and Tomoaki Nonoyama
    • 学会等名
      CIGRE 2022 Kyoto Symposium
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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