アーク放電の消弧現象は,電力用遮断器の性能を決定づける最も重要な現象であり,その詳細を数値解析から理解する試みがなされてきた。しかしながら,複雑な輻射/吸収過程に起因した膨大な計算コストから,輻射エネルギーの再吸収現象に関しては未だ十分に議論されておらず,再吸収を無視して消弧現象を解析すると遮断器の性能を過大に評価してしまう問題があった。本研究課題で,遮断器内アーク放電の輻射電磁流体解析技術を確立できたことで,遮断器の設計開発に大いに貢献できると期待される。さらに,アーク消弧現象中の3次元・非定常場を明らかにした研究は,本研究課題が初めてであり,学術的にも意義のある成果を得ることができた。
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