2022年度は,下記の3項目を実施した。①走行中非接触給電(DWPT)EVの車載システムを統合する新しいコンバータとして,Multi-port Active Bridge (MAB)コンバータの解析モデルの作成及びその有効性の確認,②補機系統の充電機能を統合するコンバータの解析及び実験による有効性の確認,③Soft-switching Active Bridge (SAB)コンバータの設計指針の提案。 ①MABコンバータの損失モデルを作成し,実験結果との比較を行った。その損失モデルにより導かれた,各動作モードの効率特性の傾向は実験結果とよく一致していた。さらに,各動作点における損失の内訳を導出し,MABコンバータの特長や課題を明らかにした。以上の成果により,MABコンバータを設計する際の指針が定まるようになった。また,上記成果は,国際会議EVTeC2023において発表を行った。 ②前年度に引き続き,車載パワーエレクトロニクスシステムを統合するコンバータの一つとして,WPTシステム及び補機系統の電源システムを統合するコンバータの検討を行った。各動作モードにおける伝送電力のモデルを作成し,実験値と比較を行った。そのモデルは非常によく一致しており,ダイオード整流器の非線形性も表現することができていた。その成果は国際会議EPE’22 ECCE Europeにおいて発表を行った。加えて,検討の中で,課題も明らかになり,本成果を元に若手研究に応募し,採択された(23K13318)。 ③前年度に引き続き,車載システムを高効率化するためのコンバータの一つとして,ソフトスイッチング動作可能なSABコンバータの検討を行った。走行中給電を想定する場合の設計指針を明らかにした。その他,7.7kW級の実機を試作し,従来法との比較を行い,有効性を確認した。
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