研究課題
本年度は主に以下の2点について研究を行い,また最終年度として全体の纏め上げを行った.1.2足歩行ロボットを対象とし,パルス型の給電により,エネルギー効率と歩行速度など,複数のトレードオフの関係にある指標にもとづく歩行の選択が可能であることを明らかにした.これまでの検討ではフィードフォワード型の給電制御を適用してきた一方,情報系と物理系の統合の観点からは,環境センシングにもとづき適応的な動作制御を行うことが重要な目標であった.本結果は,これを後述する電力パケットのデジタル演算と合わせることで動的に実現する手法を与えるものである.2.パルス伝送の確率的演算に基づく電力と情報のエンコードおよびデコードシステムを構築した.本研究では,パターン生成などを行う情報系と,ロボット駆動においてそのパターンを実現するためのエネルギー伝送とを統合する.提案するパルスベースのネットワークモデルにおいて,情報の生成と伝送は,電力を伴うパルスのルーティングにもとづく動的な時空間分布の結果として生じる.このとき,電力はパルス密度の変調によりデジタル化される.本結果は,本質的に予測不可能である環境要素として電源の可用性および負荷需要を確率的事象としてモデリングし,それらのマッチングを電力パケットの演算により実現する手法を与えるものである.上記の成果と前年度までの成果をあわせて,研究期間を通じ,当初目的を達成した.すなわち,機械系と周囲環境との関係および電力の可用性状況の両方にもとづいた,動作司令情報およびそれに必要な電力の時空間分布の制御を統一して扱える枠組みの構築を行った.とくに,提案システムにおける基盤ハードウェアである電力パケットルータの開発と,同ルータおよびルータネットワークの機能として実装されるソフトウェア開発の両面から検討を進め,当初の構想を最終的に研究室プロトタイプとして実現するに至った.
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Nonlinear Theory and Its Applications, IEICE
巻: 13 ページ: 139~148
10.1587/nolta.13.139