本研究は、ネットワークの仮想化などより加速する複数制御主体によるネットワーク制御を、ユーザーとのインタラクションも含めて総合的に実現するための制御手法を検討するものである。ヒトは、系統的な誤りを持つことから、そのバイアスを考慮するために、バイアスを含んだ認知のモデルを用いて、ユーザーのモ デル化を行う。制御主体は、このバイアスを持つユーザーに合わせた制御を行う制御を行うことで、制御主体自体もバイアスを持ち、ユーザーの違いから、異なるバイアスを持った複数の制御主体によってネットワーク全体の制御が行われることとなる。本研究では、このバイアスを持った制御主体間の相互作用を設計し、個々のバイアスに影響を受けず、全体として適切な制御を維持できる手法の実現を目指す。
2023年度は、制御側のAIモデルの持つバイアスと、ユーザーの要求におけるバイアスをマッチングさせることでユーザー、制御主体間のバイアスを調整し、全体として適切な制御を維持する手法を確立した。本手法では、精度や遅延などのプロファイルの異なるAIモデルを適切にエッジ・クラウド上の計算機に配置し、異なるユーザーの要求を満たしながら全体としての最適化を行う。また、バイアスをより統合的に扱うために、認知に加えて行動決定も含んだモデルへと拡張を行った。行動決定のモデルについてはネットワーク制御側にも適用しており、その制御の有効性についてシミュレーションにより確認した。
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