研究課題
本研究では,次世代移動無線通信システムの電波散乱壁の設計方法を示し,開発を行った.任意の反射位相を実現するメタマテリアルを等価回路,異なる反射位相の構造を組み合わせて構成した電波散乱壁の散乱パターンをアレーアンテナ理論で導出し,評価値が最大となる構成を遺伝的アルゴリズムで求める設計手法を確立した.本研究の設計手法は,電磁界シミュレーションソフトを使用しない高速かつ効率的な設計手法であり,300 GHz帯に限らず他の周波数での設計にも対応することができる方法である.また,評価値として,指向拡散度を利用することで,電波が届かない空間の通信品質を改善できる広角な散乱パターンを実現する電波散乱壁を設計が可能である.設計した広角な散乱パターンを実現した電波散乱壁を第5世代移動通信システムで利用されている28 GHz帯で試作し,散乱パターンを計測した結果,設計法で導いた散乱パターンと良好に一致し,設計法の妥当性を示すことができた.さらに,送受信アンテナ間に遮蔽物が存在し,送信アンテナからの直接波が到達しない不感地帯を有する空間を模擬した居室を実験室内に構築し,電波散乱壁を配置した場合と金属平板を配置した場合の受信電界強度を比較することで,無線通信品質の改善効果を実験により明らかにし,電波散乱壁の有効性を明らかにした.本実験は目標としていた300 GHz帯の1/10の周波数である28 GHz帯で実施したが,実験結果より300 GHz帯でも同様の効果が得られると考えらる.また,300 GHz帯においても微細な構造の影響を明らかにするために壁紙が散乱パターンに及ぼす影響を確認する実験を実施した.本研究の結果により,開発した電波散乱壁は,次世代無線移動通信システムのサービス向上に貢献できると考える.
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IEICE Communications Express
巻: Vol.11, No.1 ページ: 58-63
10.1587/comex.2021XBL0187