本研究では、アナログ光ファイバ無線の高度化のための光変調デバイスに関して取り組んでいる。アナログ光ファイバ無線を高性能に実現するためには、光信号と無線信号の間の高効率かつ高線形性なコヒーレント変換が重要である。線形性の高い光変調デバイスとしてLiNbO3変調器があげられるが、マッハツェンダ干渉計構造による光強度変調動作は理論的に高次の高調波成分を含んでおり、それが変調歪みとして信号を劣化させる。本研究では、これらの課題を解決するための高線形な光変調デバイスを実現し、その性能向上を目指している。 最終年度の成果として、光ファイバ無線リンクでの動作検証と光変調デバイスのさらなる高効率化の検討を行った。本課題を通して得られた高性能変調器を用い、変調歪みによる信号劣化の影響を受けやすいアナログ光ファイバ無線リンクにおいて高周波数利用効率な無線の変調方式として1024QAM信号の20kmファイバ伝送を行い、2.5%以下のEVMを確認した。また、次世代アナログ光ファイバ無線を見据えてミリ波のキャリア周波数での信号伝送についても行い、キャリア周波数101GHzにて70Gbpsを超える伝送容量を達成した。また、変調デバイスの高効率化については新規構造基板上への進行波型電極の作製を行い、電気信号の伝搬損失について従来基板との比較を行った。50GHzを超える周波数帯での誘電損失に起因する伝搬損失の差異が明確に確認され、層構造を有する異種材料基板の光変調器への有効性を定量的に明らかにした。
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