本研究では、高速ビジョンを用いた振動イメージング研究を起点として、音声周波数レベルの羽ばたきコミュニケーションを実時間イメージング・定量化するミツバチカメラの研究を行った。仲間に蜜源の場所を教える8の字ダンス等を例として、CNN認識によるミツバチ位置・姿勢検出と画素レベルディジタル信号処理による羽ばたき検出を組合せた、個体毎の羽ばたきコミュニケーションを定量化する高速ビジョンアルゴリズムを提案した。また500fps画像に対しミツバチの尻振りダンス動作検出が実時間動作する高速ビジョンをミツバチカメラとして開発した上で、農研機構ミツバチユニット協力下、巣内の8の字ダンスの長時間モニタリングを実施し、季節等の条件で変わる蜜源位置に対する、尻振りダンス検出による巣内での移動方向、移動速度を仲間に伝える情報を蜜源マップとしてPC上で具現化し、オンライン定位実験等を通し、高速ビジョンをベースとしたミツバチカメラの有効性を示した。また、巣箱外の屋外環境でインシデント検出として、古い女王蜂が群を連れて、他の巣箱に移動し、巣分かれを行う分蜂時の飛翔アクティビティ検出による分蜂時期の計測やミツバチの捕食を行ったり、殺戮を繰り返す、天敵のスズメバチを検出し、ミツバチとスズメバチの羽ばたき周波数の識別を行い、個体差に基づく外敵襲来に対する羽ばたき検出等様々なインシデント検出も評価した。最後に、ダンス解析以外での養蜂分野展開を検討し、花粉勾配が必要なイチゴハウスに対して、目視観察の困難な広域環境における飛翔ミツバチの羽ばたき検出による訪花位置同定の可能性を確認した。
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