研究課題/領域番号 |
20K14757
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
圓谷 友紀 福岡大学, 工学部, 助教 (50782330)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シミュレーション / 情報工学 / 並列計算 / 非破壊検査 |
研究実績の概要 |
本研究では,入射波の事前情報が不要な逆散乱解析の三次元化,及び高速・高精度化を目的としている.2年目となる2021年度は,まず球座標系における入射波の定式化を調査した.この定式化ではMieの散乱理論より,スカラ波動方程式の解を使って表現されるベクトルポテンシャルを用いることで必要な電磁界を計算できる.このベクトルポテンシャルを使って,平面波を問題なく計算できることをプログラムを作成し確認した.次に,導体球が存在するときの散乱解析の定式化の調査とプログラム実装を行った.導出したベクトルポテンシャルを使って電磁界を表現し,境界条件を使うことで導体球外部の電磁界を計算できる.この計算プログラムを実装,二次元問題における数値計算結果と比較し,物理的に妥当であることを確認した.二次元問題よりも電磁界の可視化が行いにくいので,その対応策も今後検討する必要がある.研究目的である三次元問題における入射波抽出の一歩手前まで到達したので,次は導体球が内部に存在したときに未知の入射波を抽出するための数値解析法を検討し,今年度中に国際・国内学会,学術論文誌への投稿に向けて準備を進める. また,本研究の逆散乱解析に関連する内容として,平面波だけでなく円筒波も観測円内部に入射するときの入射波抽出に関する共同研究にも携わっている.これまでの研究では入射波は平面波の1種類だけであり,円筒波も混在した問題は検討していなかった.そこで,平面波と円筒波を重ね合わせた入射波を計算および可視化を行い,導体円柱がある場合の解析を進めている. その他,人工知能を用いた逆散乱解析に関する共同研究も行っており,主に電磁波散乱シミュレーションの構築と高速化の検討を分担しており,国内学会の共著者として発表に携わっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナの影響により,2020年度の夏以降から本格的に研究開始となったこと,三次元問題における定式化に時間を要したため,予定よりも遅れている.一方,研究実績の概要に記載の通り,研究目的実現の一歩手前の段階まで到達していることから,「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
今年度中に導体球が空間に存在したときの入射波抽出に着手する.この手法については二次元問題で検討した方法が応用できると考えられる.また,共同研究者と随時情報交換できるので,研究計画の妥当性について検討を重ねる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの影響で,国際・国内会議の出張が困難となったため,未使用の経費を次年度に繰り越した.出張が困難な場合は必要な物品の購入に充てることを検討する.
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