2022年度は,制御理論の発展・実機実験環境構築の両面において一定の成果を挙げた. 制御理論面での成果として,車輪付きドローンが有する車輪走行モードを活用した,エネルギー消費を低減した移動のための制御理論を発展させた.本制御は,制御バリア関数 (CBF) という概念に基づいており,できるだけ地面を走行し障害物があれば飛行により回避する制御の実現に成功した.本結果に関する実機実験を実施し,国内学会での発表を予定している. また,飛行モード・車輪走行モードの遷移時に発生する衝突等の影響の評価に示唆を与える理論結果を,受動性という概念を用いて制御理論的に確立した.本結果は,Interconnection and Damping Assignment Passivity-Based Control (IDA-PBC) と呼ばれる手法に基づいており,前年度に得られた車輪付きドローンのモデルを用いて制御則の構築を行った.本結果について国内学会で発表を行い,優秀発表賞を受賞したことが示す通り高い評価を獲得した. さらに,本研究の主たる課題である協調制御のための実験環境をモーションキャプチャを用いて構築し,従来型のドローンによる実機実験を行った.加えて,駆動車輪付きドローンの製作を行った. 研究期間全体を通じて,車輪付きドローンを対象とする制御理論の確立のみならず,実機実験による理論検証においても一定の成果を獲得した.研究計画に含まれていない成果も複数得られ,おおむね研究計画時に想定していた研究成果量を達成できたといえる.
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