研究課題
IoT時代が到来した.IoT時代では,スマートグリッドなどのスマートな次世代型インフラシステムの実現が求められている.IoT時代における社会システムの制御では,スマートメータなどから得られた大量の情報をリアルタイムで処理し利用する事が求められる.よって,高速で大容量な無線ネットワークが求められる.現在でも5Gの通信システムの整備が急ぎ進められているが,IoT化が加速していく社会では常に通信システムの想定を上回る通信量の増加が見込まれる.通信量が飽和し続ける状況では,ネットワーク上で処理を分散化し通信量を削減できるシステム運用フレームワークが必要となる.IoT化が加速していく背景に対して, センサネットワーク上の推定問題では増加し続ける観測情報を適切に削減して,ネットワーク上で一度に通信する通信量を低減させる方法が議論されてきた.しかし,各ノードが推定問題を解くために必要とする情報が適切に確保されない場合,推定問題の性能を表す収束速度や推定精度と通信量との間にトレードオフが発生する事が知られている.よって,本研究ではこのトレードオフが発生しないような通信削減手法を提案する.推定精度に関しては,各センサから得られる情報から観測ノイズの影響を最も少なくする仮の推定値を計算することが,推定精度を劣化させないために必要であることが判明した.また,これにより通信量の最大値が観測対象のモデルに依存して導出できることがわかった.推定精度の課題がセンサの観測情報に依存した最適化問題に帰着できることから,通信則の設計に分散最適化手法が適応可能であることを明らかにした.また,提案した通信プロトコルの適応できるネットワーク構造の拡大と,通信性能の向上を達成した.これにより,任意のネットワーク構造に適応でき,最適な通信性能を達成させる分散推定プロトコルが構築できると考えられる.
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International Journal of Innovative Computing, Information and Control
巻: 19 ページ: 1425-1437
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
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10.1587/transfun.2022map0011