本研究課題は、①様々な接触対象に対する力覚制御系の安定性解析と、②様々な接触対象に対し安定に振る舞う力覚制御アルゴリズムの確立、③垂直多関節ロボットを用いた人協働ロボットシステムの実機検証の三段階からなる。そのうち、令和4年度は主に②を遂行しつつ、それと並行する形で③を遂行する計画となっており、計画全体としては当初の想定よりもやや遅れての遂行となった。実施内容としては、(1)広帯域外乱オブザーバを用いた力覚制御系の実機検証、(2)垂直多関節ロボットアームの実機作成を実施した。 具体的には、(1)について、令和3年度に実施した「広帯域外乱オブザーバを用いた力覚制御系の設計およびその安定解析」により得られた成果を活用し、当該制御系の実機検証を行った。検証では、香川高専が保有する水平3軸ロボットアームを用いた実機実験を実施し、当該制御系の有効性を確認した。また、(2)について、令和3年度中に方策変更を行うこととし、市販の垂直多関節形ロボットアームに改造を施す形で実機製作を進めている。令和4年度第2Qをもって市販品の改造が完了し、従来の水平多関節ロボットアームとほぼ同様の環境で垂直多関節ロボットアームの実機検証を行えるようになった。しかしながら、計画全体の遅れもあり、垂直多関節ロボットアームを用いた力制御実験は令和4年度中に行うことができなかったため、研究期間終了後も引き続き検討課題として実施を進めている。 これらの計画を令和4年度中に遂行するため、垂直多関節ロボットアームの改造に必要となる機材導入費100千円、リアルタイム制御リアルシステムの購入費用として100千円を計上した。また、解析用ソフトウェアのライセンス更新費用については別財源により賄うこととした。また、学術学会に参加し本研究課題に関する情報収集を行うため、学術学会参加にかかる旅費・参加登録費 計260千円を計上した。
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