研究課題/領域番号 |
20K14778
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研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
作間 啓太 成蹊大学, 理工学部, 助教 (30781976)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超伝導 / 無限層 / 歪 / 薄膜 |
研究実績の概要 |
「超伝導」は健康寿命の延伸やクリーンで省エネルギー社会の実現の一端を担っている。しかし、冷却コストが大規模応用や普及を妨げている要因となっている。そのため、超伝導転移温度の高い物質(究極的には室温超伝導体)が望まれている。2019年8月に高い転移温度が期待される無限層構造RENiO2(RE : Rare-earth)が新たに発見された。本研究では、酸化物の特性に大きな影響を与える「酸素量」および「歪」を精密に制御可能な技術を無限層構造RENiO2に応用し、無限層構造RENiO2の転移温度向上を目指す。精密歪制御に向け、格子定数を制御したバッファ層の作製を行った。その結果、格子定数を制御したバッファ層を用いることにより、無限層に0.2%程度の歪を印加可能であることが分かった。また、RENiO2の作製に向け、バッファ層上に母物質RENiO3の作製を行い、RENiO3のエピタキシャル成長を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
精密な歪制御に必要な格子定数を制御したバッファ層の作製を行った。そのバッファ層を用いることにより、無限層への歪印加が可能であることが分かった。また、母物質RENiO3のエピタキシャル成長を確認し、還元処理による無限層構造RENiO2を試みている。以上のようにおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、「酸素量」および「歪」を精密に制御することが重要となる。そのため、還元処理条件、歪を系統的に変化させ、電気伝導特性や結晶構造を評価する。特に、結晶構造は「酸素量」および「歪」を間接的・直接的に測定することが可能なため、XRD等を使用し、結晶構造の観測に重点を置き研究を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスによる緊急事態宣言等の発出により、薄膜作製のための出張や薄膜作製に必要な消耗品の購入が行えなかったため、次年度使用額が生じた。 現在、薄膜作製のための出張も感染症対策を行えば可能となりはじめているため、次年度使用額は計画通りに薄膜作製費等として使用する。
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