研究成果の概要 |
高品質なトップセル用Cu(In,Ga)Se2(CIGSe)薄膜の形成に向けて,固液界面を介した結晶成長法の開発に取り組んだ.Cu過剰な条件下におけるCu-Se液相を介したフラックス成長によりCIGSeの結晶粒径の増大を確認することができた.CIGSe成長段階においてSe元素の供給時間を設けることにより,Cu(2-x)Se前駆体の化学平衡制御のためCIGSe膜の表面には均一なCu欠損層が形成することが分かった.約600度のCIGSe成膜温度に伴うボトムセルの熱的劣化回避するため,MoSe2層状物質を用いた剥離法技術を開発し,半透明構造トップセルの作製に成功した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,従来の単接合型太陽電池を超える性能が期待される多接合型太陽電池のトップセル発電層として有望なCu(In,Ga)Se2(CIGSe)系に着目し,(1)固液界面を介した結晶制御法の開発による高品質な禁制帯幅1.65 eVのCIGSe薄膜材料を創出する.また,(2)豊富な材料群で既に開発されている禁制帯幅1.1 eVのボトムセルとの自在な多接合化に向けて,ガラス基板上で作製したCIGSe太陽電池のCIGSe/Mo界面の密着性制御による素子剥離法を確立する.
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