研究課題
次世代の光通信技術として現行の通信容量を飛躍的に向上させることが期待されている偏光渦のモード多重通信の実用化には、偏光渦の多重化状態をモード毎に分離・検出する工程が必要不可欠となるが、その技術開発は未だ本命手法が確立していない未成熟領域にある。本研究の目的は、液晶光配向材料への偏光ホログラム多重記録に基づいて、小型且つ多モード入力に対応可能な、偏光渦モード分離・検出素子を新規に提案・開発する事である。今年度の成果は以下の通りである。1.2種類の偏光ホログラム組み合わせ素子を、多重偏光ホログラムへと拡張子、8つ以上の偏光渦モード分離を可能とするモード分離素子を数値シミュレーションにより設計した。現状で、16モードの偏光渦を同時に分離可能なホログラムを設計することに成功している。さらに、モード検出可能数と検出時におけるクロストークとの関係を数値シミュレーションにより解析し、8モード検出において-25dB以下の低クロストークを実現できることを確認した。また、高品位なモード分離素子を形成するために、偏光ホログラムを記録した光配向膜上への液晶塗布プロセスの改善を試みた。重合性液晶の濃度・スピンコートの回転数・熱処理条件を見直し、昨年度時点よりも液晶配向構造の欠陥部を低減することに成功した。2.空間光変調器を用いた偏光渦発生光学系と、偏光渦の4モード分離装置を試作するとともに、光ファイバを用いた有線伝送の実験光学系を新規に構築した。しかし、当初計画では偏光渦の伝送実験及びファイバ出射光の偏光渦モードスペクトル解析を行う予定であったものの、光学系の構築とモード分離装置の試作に時間を要し、伝送実験までは至らなかった。本研究で得られた成果をもとに、今後伝送実験へと進めていくことを計画している。
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Optics Express
巻: 29 ページ: 27071-27083
10.1364/OE.433998
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