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2020 年度 実施状況報告書

状態密度を次元制御した超急峻スイッチング新構造トンネルFETの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K14797
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

加藤 公彦  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (30815486)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードシリコン / 集積回路 / 低消費電力 / 急峻スイッチング / トンネルFET
研究実績の概要

本研究では、超低消費電力集積回路に向け、急峻スイッチング素子として有望なトンネルFET(TFET)の高性能化を目指している。今年度は、Si CMOSプラットフォーム上で二次元状の状態密度(2D-DOS)を活用した新しいTFET構造を提案し、作製プロセスを検討すると同時に、デバイスシミュレーションを用いて性能予測を行った。また、鍵となる斜めイオン注入の試行実験に着手した。
提案する素子構造は、fin形状に加工されたSiとダブルゲートにより構成される。Si finの各側面にはp型/n型の高不純物濃度層がそれぞれ形成される。各高濃度層により、Si fin各側面における2D-DOSの形成が期待できる。本研究では、高不純物濃度層形成に斜めイオン注入法を検討し、不純物の深さ濃度プロファイルがTFET特性に与える影響に重点を置いて調査した。TCADシミュレーションによりTFETの電気特性を詳細に調査したところ、不純物のピーク濃度および注入深さが、TFETのオン電流やサブスレショルドスウィングに敏感に影響を及ぼすことが明らかとなった。同時に、適切な不純物プロファイルの実現により、動作電圧0.3 Vにおいて5桁以上の急峻on/offスイッチングが実現できることが明らかとなった。
本素子構造の提案にあたっては、既存のSi半導体集積回路製造工程を念頭に置き、実現可能性の高い素子構造および作製プロセスより構成されていることが特徴である。2D-DOS領域の形成にイオン注入法を用いることで、位置や濃度プロファイルの精密な制御が可能となる。今年度得られた成果は、新たなTFET構造の有望性を示すと同時に、この先の素子作製プロセスの条件設定において極めて重要な指針となり得る。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、低消費電力な急峻スイッチング実現に向け、二次元状の状態密度(2D-DOS)を活用した新たなトンネルFET(TFET)構造を提案し、TCADシミュレーションによりその有望性が確認された。また、明確な素子設計指針を示すことにもつながった。斜めイオン注入プロセスに関する実験にも着手できており、当初の研究計画に沿った進展が達成できていると考える。

今後の研究の推進方策

今年度提案したTFET素子作製においては、厚さを精密に制御したSi fin構造形成技術の確立が必要不可欠である。次年度は、silicon on insulator(SOI)基板を用い、電子線リソグラフィやリアクティブイオンエッチングを用いたSi fin構造形成プロセスの確立に重点を置き、研究を遂行する。

次年度使用額が生じた理由

国内外の学会が中止もしくはバーチャル開催になったことにより、出張に係る旅費の使用が想定を大幅に下回った。次年度以降の実験実施(基板購入、レジスト購入、共用施設利用料など)に充てる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Si bilayer tunnel field-effect transistor structure realized using tilted ion-implantation technique2021

    • 著者名/発表者名
      Kato Kimihiko、Asai Hidehiro、Fukuda Koichi、Mori Takahiro、Morita Yukinori
    • 雑誌名

      Solid-State Electronics

      巻: 180 ページ: 107993~107993

    • DOI

      10.1016/j.sse.2021.107993

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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