研究課題/領域番号 |
20K14800
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鎌田 知久 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (70804194)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | セメント硬化体 / 細孔モルフォロジー / 幾何学的構造 / 3Dイメージング / FIB-SEM |
研究実績の概要 |
本研究は,セメント硬化体の細孔構造の高精度な三次元立体観察により,nmオーダーの連続した細孔の屈曲度や連結性等,細孔構造の幾何学的構造に関する詳細な情報を取得するとともに,それらと物質移動性状との関係性を解明することを目的としている.2020年度は,まず5mm角のセメントペースト供試体を対象に乾湿繰返し試験及び水銀圧入試験による細孔構造分析を実施した.複数の乾湿サイクル後の吸水率と細孔構造の各種指標(細孔量/率,ピーク径,連続空隙量/率,閾細孔径)との関係性を分析した結果,乾燥の影響により細孔構造が粗になることで吸水量が増加すること,吸水性状に対して閾細孔径が強く影響を及ぼしていることを確認した.また,過去に実施したFIB-SEMによる三次元観察において取得した,同一条件で作製した供試体(乾湿1サイクル目に相当する供試体)の三次元画像を解析した結果,連続空隙率並びに連続した細孔中の最小径が水銀圧入試験で取得したそれらと概ね対応していることを確認した.さらに,この三次元画像中の任意の連続空隙(経路長:約260nm)を対象に屈曲度を計算したところ,1.25程度であった.本検討に用いた三次元画像は約3×3×3μm程度であるため,選択可能な連続空隙の経路長が短いことに起因して屈曲度が小さくなっている可能性がある.このため,次年度からの検討において屈曲度を求める際には,経路長の長い連続空隙を対象とするか,解像度は低下するがより観察範囲の広い三次元画像を対象とする必要があると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
FIB-SEMにより取得した三次元画像から細孔構造の幾何学的構造に関する情報を取得するための解析方法に関する検討については,連続空隙,閾細孔径(連続空隙中の最小径),並びに屈曲度に関する定量値を求めることが出来たため,概ね順調であると思われる. しかしながら,現在の状況を鑑みて,当初予定していた外部機関でのFIB-SEMによる三次元観察の実施を自粛したため,新たなデータを取得できていない状況にある.このため,本年度の進捗状況は,やや遅れていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,状況を鑑みながら,FIB-SEMによる三次元観察を実施するとともに,各種物質移動試験を実施し,三次元画像解析から取得される細孔構造に関する各種指標と各種物質の移動性状との関係性を精緻に分析する.具体的には,普通セメントに加えて,フライアッシュや高炉スラグ等の混和材を用いたセメントペースト供試体を作製し,細孔構造の発達過程の差異が幾何学的構造に及ぼす影響を確認しつつ,細孔の連続性,閾細孔径,屈曲度が液水や気体の移動性状に及ぼす影響を解明する.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在のCOVID-19の状況を鑑みて,2020年度実施予定であった外部機関でのFIB-SEMによる三次元観察を延期した.このため,2021年度に繰り越して実施する予定である.
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