研究課題/領域番号 |
20K14818
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
青木 崇 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 地震減災実験研究部門, 特別研究員 (20870017)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 映像撮影 / 加振実験 / VR映像 / 加振波形 / 事前防災 / 室内環境 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、(国研)防災科学技術研究所つくば本所大型耐震実験施設にて加振実験を実施した。過去加振実験は多数行われてきたが、構造物、非構造物の計測等を目的とするものが多く、計測のため実際の生活では置かれることのない計測機器、ケーブルなどにより日常生活とは異なるものとなる。本実験では、地震時の室内映像を撮影することに主眼を置き、効果的な啓発映像を撮影することを主目的として行った。 今回の実験では、ユニットハウスの製造、販売を行っている民間企業、耐震ラッチなどの製造、販売を行っている民間企業との共同研究協定を結び、それぞれの企業と協調して加振実験を実施した。また、撮影についてはNHK関連企業に実施いただいた。実験は、長さ7.6 m、幅4.6 m、高さ2.9 mのユニットハウスを振動台へ設置、試験体の片面を開け振動台外側の不動点からの撮影と通常の振動台上に設置したカメラに加え、その他VRカメラなど撮影を行った。加振対象の条件は、家具の設置方法を通常の家具配置に加え、試験体の2つの壁面に沿って家具を配置した条件で加振を行った。それぞれの家具配置に対して耐震対策あり、耐震対策なしの条件で実験を行った。実験にて用いた加振波形は、JMA神戸NS 50・75・100%に加え、十勝沖地震八戸波EW 100%、十勝沖地震八戸波NS 100%の実地震波形を用いた。実験では試験体および振動台上の加速度を複数点にて計測した。実験では実験計画の通り、耐震対策ありの条件では、 JAM神戸NS 100%加振であっても家具は倒れず小物が一部落下するなどの小さな被害のみとなった。耐震対策なしの条件でJAM神戸NS 100%加振を行った際は、加振後に多くの家具が転倒している映像を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度はE-ディフェンスでの建築基準整備促進事業「S30.鉄筋コンクリート造の限界耐力計算における応答変位の算定精度向上に向けた建築物の振動減衰性状の評価方法の検討」において実大建物の1軸加振実験を行い加振時のデータ取得を行い、大型耐震実験にてユニットハウスにて映像取得のための実験を計画および組織づくりを行ったうえで、実験の申し込みを行い、令和3年度は実験を実施し、映像の取得を行った。 また、今後、被験者実験による体感の解析に必要となる技術についても検討を行い、また協力先についても承諾を得て令和4年度の研究推進に向けて準備を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
連携を打診している学校法人や公益財団法人の運営する科学技術館において子供向けの体験を計画しており、それらの評価方法については、アンケートのような定性的なものに加え、発汗や脳波、視線といった定量的な方法についても取り入れて行うことを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、実験の加振対象となるユニットハウスは中古品を購入、家具や耐震ラッチなどは購入、それらの設置作業についても費用負担するものであった。令和3年度の研究推進において、製造メーカーとの共同研究協定締結により、ユニットハウスや家具、耐震ラッチを無償提供、取り付け作業も共同研究先に負担いただけたため、次年度使用額が生じた。今後は、この費用を用いてより広く体験の実施を行うことを計画している。
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