最終年度は,不飽和砂三軸圧縮試験で得られたCT画像の土粒子・水・空気三相セグメンテーション画像を使った画像解析により,変形前後における間隙水の存在形態変化を明らかにした.具体的には,変形前に液架橋だった間隙水が,変形後に液架橋のまま存在するか,バルク水として存在するようになるか,消失するか等を識別する画像解析アルゴリズムを構築し,それを排気-排水条件,排気-非排水条件の三軸圧縮試験において異なる軸ひずみで取得したセグメンテーション画像に適用した.その結果,せん断帯の発達領域において,非排水条件の方が排水条件よりも液架橋が消失する割合が多いこと,また土粒子の変位も大きい傾向があることが明らかとなり,軸差応力の差につながっていることを確認した.また,大型放射光施設SPring-8の高エネルギーX線CTを用いた高解像度撮影によって,せん断変形による不飽和三軸供試体全体の間隙水の分布変化を明らかにすることができた.研究機関全体としては,過去にはできていなかった間隙水の存在形態の分類(液架橋かバルク水)に成功したこと,液架橋の分布変化のみを抽出してマクロな応答への影響を議論したこと,供試体全体の間隙比・飽和度分布を議論可能なデータを得たこと,が大きな実績である.一方,当初の目的であった構成モデルの構築は,新型コロナウイルス感染拡大の影響による実験スケジュールの大幅な遅延およびそれに伴う実験データ取得の遅延によって,期待する成果は得られなかった.SPring-8で得たデータ解析を進めて供試体全体の液架橋分布変化の特徴を明らかにし,構成モデルの構築を進めていく.
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